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□チューリップ<きいろ>E-side
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オレはいつまでこの想いを抱えていればいいのだろうか。
女好きで、でも軽くなくて。
自分の出世一番だが、仲間思いで。
そしてオレに光をくれた。希望をくれた。生きる意味を与えてくれた。
だから態度とは裏腹にオレはあいつを尊敬していた。
その〔尊敬〕が〔好き〕に変わったのはいつ頃だったのだろうか。
東方司令部は今日も平和だ。いつもと変わらず仕事をこなしている部下がいる。
そこに赤いコートを纏った金色の少年が現れた。
報告書出すわけでもないのになんで呼び出されたんだ?
だけど、内心すごく嬉しい。あいつに会えるから。
「ちわーす」
執務室のドアを勢いよく開ける。そこにはいつものメンバーがいた。一番奥に座っているあいつ。いつものあいつは怪我一つないきれいな顔をしているのに今日は頬に少し怪我があった。
「鋼の」
オレの心臓がドキリと高鳴る。
「な、なに?」
「この前君たちが行った南のはずれの街のことだが」
なんだ、仕事の話か。
「あの小さな街で一人独裁していた輩がいたそうだが」
「あぁ。そいつなら不正暴いて懲らしめてやったぞ?」
「その君が懲らしめた奴が、昔は結構な腕前の錬金術師だったらしい。…しかも賢者の石の情報つきだ」
「えっ!?ホントか!?」
賢者の石。今のオレたちには喉から手が出るほど欲しいものだ。元の身体に戻るためにには絶対必要なものなんだ。
「そっそれで!?そいつはなんか言ってたのか!?」
「いや、何と訊いても口を割らないのでね。何も言わないということは何か知っているということだろう?」
そういうことになる。何か知っていたら知らないと言えばいいのだから。
「だから、…まぁ気に食わんやり方だが少し脅してやった」