黄の書
□ハンター×ハンター
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勇人「………………くそが」
見渡す限り、ゴミ山としか思えないような場所を延々と歩いていたが、もう限界だ。
勇人「………………腹減った」
ドサッと、膝から地面に倒れる。
もう1週間も何も食ってない。
辺りには食えるようなものは全くなく、ゴミしか存在しない。
……さすがに食材がなければどうすることも出来ん。
「……………大丈夫?」
倒れて動けないところに、幼い声がかけられた。
顔を動かさず視線を向けると、そこにいたのは一人の少女。
「―――おいマチ、どうかしたか?」
続いて、少年の声が聴こえてくる。
その少年に続いて何人も子供がやって来た。
「あ? 何だコイツ」
「行き倒れか?」
マチ「そうみたい」
「………どうする、クロロ?」
クロロ「そうだな………」
――――グッグググウウゥゥゥゥ………
勇人「……は…腹減ったー………」
マチ「……だってさ」
クロロ「……仕方ないな。ノブナガ、シャルナーク、何か持ってきてやれ」
◆◆◆
光龍「………ここ、どこっすか?」
森の中をさ迷い歩く男。名は、黄 光龍。
行く手を遮る木々を手で払い除けながら、彼は森を進んでいく。
光龍「どっかに町か村でもあればいいんすけどねぇ~………」
溜め息吐きながら進む彼の視界が、鬱蒼と生い茂る木々から、清みきった湖へと変わる。
………ようやっと森を抜けることが出来た。
光龍「………取りあえず飯」
湖に飛び込んで、魚でも獲ろうかなぁと考えていたら、
「やめといた方がいいよ」
一人の少年が声をかけてきた。
釣竿を持ち、麦わら帽子を被った少年だ。
光龍「何でっすか?」
「飛び込んでったら食べられちゃうよ」
「え?」と光龍が声にした瞬間、
――――ザッバアァァァァァンッ!
湖の水面から、巨大な魚が跳び跳ねた。
確かに少年がいった通り、人間の一人くらい余裕で丸飲みしそうなデカさだ。
光龍「……デカイっすねぇ…ヌシかなんかっすか?」
「うん、この湖のヌシだよ。お兄さんは、こんなところに何しにきたの?」
光龍「いやー、ちょっとこの近くにある村に用があるんすけど、道に迷っちゃって……」
「そうなんだ。じゃあ俺が案内するよ、その村に住んでるから」
光龍「マジっすか! いやぁ、助かるっすよ。あ、そういやまだ名乗ってなかったっすね、俺、黄 光龍‐ウォン ガンロン‐っす!」
「俺はゴン。ゴン・フリークス!」
彼等がこの世界で出会った少年少女、それは、後に世に名を轟かせるほどの存在となる。
神爪 勇人。
黄 光龍。
異なる時間、異なる場所で出会った彼等が動くとき、物語は始まる。
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