闇鴉
□淡い口づけ
1ページ/3ページ
今日も陰陽塾の講義が終わり、春虎は寮の自室に戻っていた。
(あー、そういや夏目から課題出されてたんだっけ…)
そう、春虎は冬児と共に陰陽塾に中途編入してきたのだ。
そして冬児は陰陽術の知識はあったのだが、春虎は土御門の分家にも関わらず、陰陽術の知識は皆無に等しかった。
そんな春虎を見た夏目は顔を真っ赤にしながら
「君は一体何をしてきたんだ!」
と激怒し、陰陽術に関する書物や資料を春虎に渡し、これを全て覚えるように!と言われたのだ。
そんなことを思い出していたらあっという間に春虎の自室前に着いていた。
春虎は「しょうがない、やるか」と、誰に言うわけでもなく呟きながら自室に入る。
✡
夏目からの課題に取り掛かってから30分経過した。
春虎の顔は、すでに「なんだこれ…」と書いたも同然の表情をしている。
うー…と唸っていると、ドアの方から「バカ虎〜入るぞ」と聞い覚えのある声が聞こえた。
冬児だ。
冬児は春虎の返事を聞くことなく部屋に入ってくる。
「夏目からの課題の方はどうだ…って聞くまでもないな」
「うるせぇ。…あ!なぁ冬児、教えてくれよ!」
「ハァ…ま、いいぜ。ただし俺流のやり方にさせてもらうがな」