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□第3話
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放課後。

言った通りに真紘先輩はやってきた。



私の前に座って、じっと見てるだけ。

静かで邪魔にはならないけど…







「先輩っ‼」



「何?」



「あまり見ないで下さいっ‼」






ニヤッと笑う真紘先輩はいじめっ子だ。





「もしかして緊張してる?」





「してまひぇん‼」




かんだ…。






「ふっ…」



「吹き出さないで下さい!」



「わかりやすいな、お前って」





かぁっと赤く染まる。






「でもさ…なんか最初はすごい壁作られてたかんじするから」





「すいません。初対面だと必ずそうなっちゃうんです。なんていうか、警戒しちゃうから」




「ふーん…」






でもこの人にはあまり壁は作っていなかったと思う。

なんか壊されてたって言う方があってるかもしれないけど。







「なんかあんまり人のこと信用しなさそう」




「…しませんよ。あたりまえでしょう?」







裏切るから。

人間は嫌い。






でもね、未奈と友達になってはじめて誰かを信じれたんだよ。







「なんか…お前の小説ってさ。そういうとこが入ってるよな」




「そうかもしれませんね」




「すごいいい小説なんだけど…なんかさ。お前の小説読んでからお前のこと見ると悲しくなるな」







ちょっと、怖かった。


見透かされてるようで。





だけど、目の奥が熱くなった。








「奏…」




「あはっ…やだな…なんでだろ」






何も話してないのに、この人は私のことを分かってくれている気がした。



それが、とてもとても



あったかかったんだ…。








「奏」


「なんでもないし」


「そうだな」








私の涙を見ないフリして頭をなでてくれる手はあったかかった。








「…先輩には…いつか話せるかもしれない」



「…んー?なんのこと?」



「なんでもないし」



「あっそ」







ツンデレ少女の恋はまだ始まったばかり。
 

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