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□第2話
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「事件だ…‼」



「は?」




未奈がヤクザのような不機嫌な顔で見てくる。
まぁ未奈の場合、怒ってるわけではないのだけれど。
ただちょっと表情のバリエーションが豊富なだけだ。




「どうしよう…!小説ノート…実験室に忘れちゃった…」




「でも取りに行ってたら次の授業遅れちゃうよ?」





未奈の言っていることは確かで。

結局、次の授業が最後だからと理由もあり、授業が終わってから取りに行くことになった。


























ぱたぱたと走り、実験室に入ると静かな暗い教室に誰かが寝ていた。



その横には私の小説ノートがあって。


急いでノートを取って、寝ている誰かをじっと見つめる。







「いつまで俺のこと見てるの?」


「⁉」



むくっと起きる誰かはネクタイの色で三年生だとわかった。




「そのノート…お前のなんだ?」



「へっ⁉…っと…まぁ…はい…」




「小説書いてんの?」




「…読んだんですか…?」





「……どーだろうね?」




「…っ‼‼」




赤くなった私を見て意地悪くニヤッとする。



「あのっ!」



「いい小説じゃん」




え…。






「いい小説だな」



「あ…の…」



とまどう私にその人は言ってくれた。



「俺は好きだけど。隠す必要ないと思うよ」



「…あ…ありがとうございます」



「また読ませてくれない?秘密にしたいなら黙っとくし」





いつもはいじっぱりな私が初対面なのに素直になれた。




「…読んでいただけるなら」




「ん」





その人は今まで私が見たことがないくらいやさしく笑った。
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