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□第5話
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無言でわしゃわしゃ頭を撫でてくる真紘先輩は意味不明。
「髪ぐしゃぐしゃ…」
少し笑って手を止めた。
「俺さー…聞いていいのかな…お前の話」
「話って?特にありませんけど」
「じゃあなんで泣いてるわけ?」
「は?泣いてないし。スーパーミラクルハイパー鬼泣いてないし」
泣くのは、もう最後にしようって。
小学生のときに決めた。
家のことでは誰にも頼らない。
誰にも話してはいけないと、お母さんが言った。
お母さんが離婚したいと泣く。
そんなのはお母さんの勝手。
だけど誰にも言っちゃいけないのに、頼っちゃいけないのに。
私はどうしたらいいの?
わかんないよ…。
離婚したいならさっさとしてほしい。
そうじゃないと、もう、限界。
「先輩」
「どした?」
「あのね…明日。明日になったら…ちゃんと話すから。だから…待ってて」
「ん…言いたくないなら言わなくていいから」
「違う。言いたくないわけじゃないです。だけど…今まで誰にも話したことないから。ちょっと頭の中整理する時間がほしいです」
「そっか…じゃあ待ってる」
待ってる。
その言葉がいつでも受け止めてくれる気がしてあったかかった。
安心できた。
真紘先輩は今まで出会ったことのある誰にも似てない。
先輩は、家族みたいだった。