ノベルズ

□スウィーツハニー
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僕の名前は木田雅利(キダマサトシ)。
とある全寮制男子校の寮監をしてます。

寮監のお仕事を平たく言うと、寮の監視役ってところかな。
そのままじゃん!!とか突っ込み来そうだけども、これがお仕事として成り立っているのだから、致し方ない。
とは言っても、常にお仕事があるわけじゃないから、ちょっと怪しいかもしれない。
あ、でもちゃんと毎日働いてるよ。
実のところ、この学校の生徒たちは、誰もが聞いたことがあるような会社の社長の息子だとか、国会議員の息子だとか、世界的に有名な資産家の息子だとかそういった類の人がたくさんいる。
だから、次期社長だとかそうして親を継ぐような子たちはその都合で寮を出て親元へ行く時、僕が必要となってくる。

すごいよなあ、まだ高校生なのに。
なりたい、とかそういう事は考えたことは無いけれど。
案外この仕事が好きなんだよね。

さて、そんな僕の日課だけど……
お仕事の合間に、スペシャルタイムがある。

僕にとっては、この時間はとても特別な時間なんだ。
ある人が来るのを毎日の楽しみにしている。

コンコン

寮監室のドアを叩く音。
来た!!


「はーい」
「木田、持ってきたぞ」


ガチャリ、とドアが開いて1人の男が入ってきた。
この人の名前は、鳴瀬巧(ナルセタクミ)。
この学校の専属パティシエ。
僕とは同い年で、共に25歳だ。
自分で言うのもなんだけど、僕はおっとりしている。
それに対して、鳴瀬は出来る男って感じ。

寮監とパティシエ――そんな接点の無さそうな僕らだけど、とある縁で毎日のように会っている。
と、言うのも、僕のその楽しみが関係しているのだけれど。


「鳴瀬ぇ、今日のおやつは?」
「いちごのミルフィーユ。今日の食堂で出した奴だ」
「わーい!!甘いものだー!」
「いや、いつも甘いもんだろ?」
「そうだけどね?やっぱりこう、口に出してくと幸せ度が増すって言うか」
「…やっぱりお前って…アホなんだな…」
「何か言った?」
「いや、何も言ってない」


ふーん?
ま、いいや、それより、ミルフィーユ食べよーっと。

そう、僕のお楽しみってのが、これ。
甘いものを食べること。
僕は無類の甘党で、それは自他共に認めるほど。
1日一回甘いものを食べないと、ダメなくらいに好き。
甘いものが大好きな僕です。


パクッ

「ふぁー…うまー…」
「お前は誰よりもうまそうに食ってくれるよな。作ってる側としては一番嬉しいわ」
「もぉホント幸せー」
「聞いてないし…まぁ、良いか」


サクサクとしたパイ生地、いちごの酸味とクリームの甘さが混ざり合って、もう、ホント、美味しいっ!!

僕は、すごい勢いで食べ終えてしまった……も、ちょっと食べたかったなぁ……


「まだ足りないのか?」
「うん……」
「仕方ないな…」


あ、それからあともう1つ。


「ん……ふぁ…」


それは、鳴瀬とキスすること。
僕は無類の甘いもの好きで、これもその一環。
鳴瀬とのキスは、とても甘いんだ。
だから、甘いものが足りない時は、鳴瀬とキスする。

「んん…っふ…は……ぁ、甘い…」
「……それはお前の方だ」

何で鳴瀬とのキスは甘いんだろう。
少し疑問に思っている所だ。


「はぁ……でも、好きだなあ」
「…あっそ。じゃあ、俺行くから」
「あ、うん。今日もありがとう、明日も楽しみにしてるからね!!」
「わかってるって。……じゃ、またな」
「またねー」


今日も糖分補給、木田雅利、元気100倍!!
さーて、仕事頑張るぞーっ!!




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