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□Study Crisis 前編
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あー、ちくしょっ!!
アイツら5人掛かりとかフェアじゃねーよバァカ!!


……ま、勝ちましたけど?
あいつらデカいだけだった。
でも多勢に無勢ってヤツでさ、今俺血だらけなんだよな。
さすがに頭殴られたのは痛かったか。
額切っただけだとは思うが、なんか出血が止まんねえから仕方ない、保健室だ。


てワケで、保健室。


ガラッ

「失礼しまー…」

って臭っ!?
この独特な臭いは……男なら誰でも知ってる、アレだ。
うわ、最悪。
何が楽しくてんな臭い嗅がなきゃなんねーんだよ。


「……ん?お客さんかい?」
「っギャー!!」

シャッとベッドの仕切りカーテンを開けたそいつは……
事もあろうに、全裸で出て来やがった!!

うぉえぇぇえええ!!

俺は同性のヤツの裸なんかに興味はこれっぽっちもねぇ!!
俺は女の子のやーらかいのが好きだ!!


「おや、大変だ。怪我をしているね」
「ギャァアア近づくなこのド変態!!」
「心外だね、僕は何も変なことはしていないのに」
「ああ変なことはしてねぇよ、けど変な格好をしてんだよ!!まず服を着やがれ!!」
「はぁ、わかったよ。そんなに怒鳴らないでくれ」

やれやれのポーズ。
そっくりそのままコイツに返したい。
スーツの上に白衣を着るそいつに。
って、あれ?
嫌な予感が……。

「あ、アンタ……もしかして、保健医なのか?」
「もしかしなくとも、僕は保健医のササキイオリだが?」
「マジかよ!?」


この変態が保健医!?
…世も末だな。
いや、マジで。


「まったく、君は失礼な奴だな。僕はさっきまでかわいこちゃんと良いことしていたんだからな」
「いや知らねえよ!」

つーか、ここ男子校なんだけど……。

「まったく、……じゃあ、そこに座りたまえ。すごい血じゃないか。拳銃で撃たれたか?」
「んなわきゃねぇだろが!!」
「何をしたんだ?」
「……ケンカだよケンカ。5人掛かりでやりやがって…」
「ずいぶんと殺伐とした学園生活を送っているようだね。頭だけかい?」

ねーよ、多分。
つか、早く止血しろよ、マジで貧血になんだろうが。

「君は随分と気品がないね。ここじゃ珍しい」
「あぁ?どうだって良いだろ。お前なんかに言われる筋合いはねぇ」

気品がなくて結構だ。
俺は坊ちゃんでも何でもねぇし。
それよか、

「珍しいっつーのは言い過ぎだ。こんなの俺だけじゃねーのによ」
「わかっているよ。……ちょっと染みるが、我慢してくれ」
「っ……てっ…もうちょい優しくしろよっ」
「………ふむ、なかなかエロい台詞だな。まるでいれられた後の」
「何言ってんだアンタは!?意味わかんねぇよ!」
「わからないかい?じゃあ説明してやろう。例えば――」
「いや、良いから!」


何なんだよ、人の話聞きゃしねぇ!!
とか思ってる間に、手当て完了しとるし。
すげぇなおい。
あー、ワイシャツに血ぃついちまったなぁ。
あんにゃろー、金属バットは反則だろーが。


「あぁ、忘れていたが、この帳簿に名前を書いてくれるかい?」

わかった、この人、マイペースだ……。

俺は名前を記入して、手渡す。


「………ふぅん、植原友也、ね…僕はこう漢字で書くんだ」


そういってサラサラと紙に書かれたのは、意外に雑な字で、佐々木庵と書いてあった。
いや、何で今教えられたんだ?

覚えろと?

……めんどくさっ。

「はぁ……じゃ、俺帰るんで。手当てありがとうございました」
「待ちたまえ」
「………何すか」
「僕はどうやら君を気に入ったらしい。だから、また怪我しておいで」
「問題発言するな!!バカ教師!」
問題発言以外なんでもないこと言いやがったよ……。

……怪我しようがもうここ俺来ねぇようにしよう。


と、密かに思った俺であった。


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