1.灰色ノ世界
プロローグ--------
「奇跡だ!
ついに人を作り出すことに
成功したんだ!」
現実時間AM3:29
人は人を作る技術を完成させた。
それは非人道的な禁忌の技術。
人々が、作られた物の
哀しみも知らぬまま、
神は技術とその産物を地上から消した。
そして人の生きる所には無い
神々の地にて、二十数年の月日が流れ、
一人の神が、
縦の筒型の大きなガラスケースの
水の中に浮かぶ
まだ十代後半に見える
人間の女を見つけた。
〔この子供は?」
「あぁ、着任早々やなもの見たな。
なんでも人間の禁忌の産物だそうだ
俺が来たときは既にこんなだった。」
〔ふぅん…
ねぇボクが担当する世界で
使っていい?」
「何に使うんだ?
ま、邪魔だったから良いけど。」
〔じゃあ貰ってくね」
会話の最中、人間の指が僅かに動いた。
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