企画
□わすれもの
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授業と授業の間の短い休憩時間
私は隣の隣の教室を覗く
「うわっ、また女の子に囲まれてるし・・・・でも、よし」
私は深く息を吸う
「ふぶきくーん!」
吹雪くんと周りにいる女の子がいっせいにこっちを向く
ここで必ず吹雪くんが微笑む
代わりに、女の子の数人に睨まれ、数人に不快そうな顔をされる
睨むのはやめようよ
吹雪くんが近づいてきて(何人か取り巻きの女の子も何故か一緒に・・・)
「どうしたの?」
って笑顔で聞く、
「辞書・・・貸して」
「うん、いいよ」
間近で笑顔を見るとやっぱりきれいで、幼なじみといえども少し照れる
「はい、どうぞっ」
「ありがとう」
「でもさ、小春ちゃんて、よく辞書とか忘れるよね」
「あ、えと、教科書は置き勉なんだけど、辞書とかは吹雪くんが持ってるから良いかなーって・・・」
「なーんだ、僕に会いたいから来てくれるのかと思ってた、残念」
さらっとこんなこと言っちゃうんだから吹雪くんて怖い・・・
いや、本当はそうなんだけど私は吹雪くんじゃないから
本当は会いたいからです
なんて言えません
「そうだ!この英和辞書におもしろい例文載ってたから356ページ開いて見てよ!」
「はあ」
とりあえず開く
L行・・・・・
蛍光ペンで染められた例文
I love 小春
「っぷ・・・」
元はLisaだった上から私の名前が無理矢理書かれていた
しかもひらがなで
「ね?」
「ふふっ、いみわかんない」
「え?わからないの?僕は小春が好きです」
「待って、それって、え?」
「告白って言うのかな」
そう言って吹雪くんが笑う
なんだ、ただの両思いか・・・
嬉しい
「私も、好き!」
同時に恥ずかしさと、泣き出しそうな取り巻きからの視線から逃げたくなって自分の教室へ歩きだそうとした
「待って、」
吹雪くんに左腕を捕まれる
「わすれもの」
そう言って私のおでこにキスをした
取り巻きちゃんが泣いてるのに・・・
吹雪くんて、S気質なのかな