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□馬鹿な私と冷静な君
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私は今、非常に戸惑っている。
何故かって?
だって、片想いの相手に抱き締められてんだもん。
名前は美藤竜也。
殺し屋鳳仙とか言われてるスキンヘッド軍団のトップだ。
この街の四天王の一人として有名。
あっちは覚えてもいないだろうけど鳳仙の生徒が道でたまってて、怖くて通れずにいたら
退け、と一言で退かしてくれた事がある。その時の横顔は今でも鮮明に覚えてる。
それ以来、街で、駅で、見かける度にドキドキとする。
友達にはやめとけ、って言われるけどかっこいいんだから仕方ない。
まぁ、そんな片想いの相手に抱き締められているのだ。
何で抱き締められてるんだろ?
「おい。」
「っ、はいっ!」
ビックリした。
いきなり声かけてくるんだもん。
「悪ぃないきなり。」
「いいえ!全然大丈夫です!」
むしろ嬉しいです!、とは口が避けても言えない。
というかまだ離してくれない。
「………あのー。」
「あぁ、悪ぃ。」
もう一度声をかけたらやっと離れてくれた。
あのままだったらこっちの心臓持たないしね。
「………………」
「…………………」
うーわー。きまずーい!
何故か美藤達也はこっちを見たまま動かない。(いや、グラサンしてるからもしかしたら違う方見てるかもしれないけど。)
……きっと今の私の脈拍数はすごく高いんじゃないだろうか。
息切れとかしないように気を付けよう。気持ち悪い奴になる!
「お前、俺の事知ってるか?」
何だいきなり。知ってるけどさ!知ってるって言ったら引かれたりするかな、
じ、実は毎回見かける度に見つめてたのばれてたのか?!
「………おい、どうなんだよ。」
「し、知ってます。」
もうどうにでもなれ!
考えるのが面倒だわ!
「…そうか。」
「………はい。」
あー、引かれたかなー。
「俺もお前の事知ってんだ。」
「そうですか、って、え?!」
ん?何で知ってんの?
「前に、鳳仙の野郎怖がってたこと、あっただろ。」
「あ!はい!あの時はありがとうございました!」
「……おう。」
「ていうか、覚えてたんですね。」
「まぁな。」
何かあっちも覚えててくれたとか嬉しいな。
でも何で覚えてたんだろ?
「街で何回か見かけたこともある。」
おぉ、一緒だ。私は何回じゃなくて何十回だけど。
「で、お前の名前知らねーな。と思ってよ。」
そりゃそーだ。
「あ、私、名無しのごんべぇといいます!」
「ごんべぇか、
俺は美藤竜也だ。よろしくな。」
「美藤さん、えっと、よろしくお願いします。」
知ってるけどね。
ていうか、よろしくしていいの?!ら、ラッキィぃぃ!
「ごんべぇ何年だ?
多分タメくらいだろ?
敬語入らねーよ。」
「私、今高三です!」
「一緒じゃねーか。
敬語禁止な。
あと美藤さん、もやめろ。」
「あ、はい!じゃなくてうん!
………た、竜也くん?」
「………………//」
えぇぇ!美藤さ、じゃなくて竜也くんの顔が赤いぞおい!
あれか!私が呼んだから照れんのか!
もしそうなら嬉しいぜ!
「とりあえず、連絡先、教えろ。」
「え!連絡先?!」
おぉぉぉ!これは夢なのか!
連絡先聞かれた!
「……おい、教えろって言ってんだろ。」
命令形だけどかっこいいぜ、竜也くん!
「あ!教える、!
えっと、何か書くもの……」
鞄の中に入ってた花柄のメモ帳。
自分の中で最高に可愛い字で番号を記す。
「ど、どうぞ。」
「……おう、ありがとうな。」
「うん!私こそありがとう!」
「何でごんべぇが礼言うんだよ?」
「だって、竜也くんと話せて嬉しかったか……………あ」
やべー!つい本音が!
あ、じゃねーよおい!
全然言ってんじゃん!あと、ら、しか残ってないじゃん!
「……………」
あぁ!竜也くんが凝視してるよ!
グラサンかけてるけど今度は視線が突き刺さってるよ!
はー、変に思われたかなぁ。
「………ふっ。
お前、可愛いな。」
「……………は?」
「じゃあまたな。ごんべぇ。
ちゃんと電話でろよ。」
「あ、バイバイ。」
名無しのごんべぇ放心状態につき、回復までしばらくお待ちください。
って、そんな場合じゃねぇぇぇ!
さ、最後!あの人何て言った?!
聞き間違いじゃなかったら可愛いって言われたよ私!
生きてて良かったぁぁぁ!
し、しかも!
去り際に何したあの人!
頭撫でてもらったよ私!
生きてて良かったぁぁぁ!
こんな嬉しいし事件そうないよ!
しかも!いつかわかんないけど電話くれるみたいだし!
幸せ過ぎて死ねる!
ひゃっほぉう!
――――――――――
落ちなしだぜひゃっほぉう!笑
続きかきます。これ。
アップしたら、暇だったら、
みてください!