小説

□風呂ポーズ
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風呂ポーズ







私は一護の部屋で雑誌を読みふけていた。
食事も課題も済ませ、後は風呂に入って寝るだけ。
そんな時だった。

「ルキア〜!!!!」

一護が血相を変えて部屋に飛び込んできた。

「何だ?」
「ルキア!あのさ、一緒に

この時は、まさかこんなこと言われるなんて思ってもなかった。

「風呂入んねぇ?」
「…は?」

一瞬、私の思考回路がピタリと止まった気がした。

「…一護?貴様正気か?どこかで頭を打ったのではないか?」
「ハハっ!!何言ってんだよ!俺は全然正気だぜ」

さっきまでは普通だった。
あえて言えば、トイレに行くと言って一階に降りる際にブツブツつぶやいたり呻いたりしていたくらい。

「なぁ、ルキア。ダメか?」
「何を急に…」
「急じゃねぇよ。だいぶ前からの考えがようやくまとまっただけだ」
「考え?」
「あぁ。これは、俺の目標達成のための大切な過程の一つなんだ」
「な、何の目標だ!言ってみろ!」

一護は一瞬ためらいの表情を見せたが、すぐに真顔になって私に向き合った。

「俺の人生の全てだよ」
「…は?」

再び私の思考回路が止まった。

「最終目標は、お前と一緒に死ぬことだ」

本当に此奴は何を言っておるのだ!?
病んでおるのか?
ストレスがたまるにたまったか?

「最初っから言ってやろうか?」
「いい」
「何だ、ノリワル」
「黙れ」
「ちなみにな、この次は「黙れ」

このまま喋らせたら何を言い出すかわからないので、意地でも一護に続きを喋らせたくなかった。
ヘタすれば自らが恥ずかしい思いをするかも知れぬからな。

「なぁ、一個だけ言わせて?」
「………はぁ、一個だけな」

そう言った途端、一護の目に光が満ち溢れたような気がした。

「次はな!お前と結婚することだ」
「!?と、とんだな」
「次は、お前との間に子を持つこと。そして、死ぬことだ」
「誰が、続きを言っていいと言った?」
「で、一緒に入ろうぜ!」

ここはなんと返事するのがベストなのだ?
無視して一人で入ってたら、後から無理やり入ってきそうだな。

「なぁ、いいじゃんかよ」
「…」

本当は断るべきなのだろうが、それはもったいないと思っている私が、確かにどこかにいる。
一緒に入ることに抵抗する自分と、受け入れている自分がいる。

「ルキア」

気を緩めれば、一護の艶美な誘いに乗っていまいそうだ。

「なぁ、ルキア」

何もかも、一護に委ねてしまいそうだ。
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