小説

□電話争奪戦
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 電話争奪戦





12月25日。チラチラと雪の降るホワイトクリスマス。一護は暖房の入った自室で机に向かっていた。
「ルキアの奴何してんだよ」
そう言って視線を押入れに移す。そこにはなぐり書きで“開けるな”と書かれていた。中からはゴソゴソと何かと何かをこすり付け合っているような音が聞こえる。
今日はクリスマス。一護とルキアは恋人同士。正直二人で甘い時間を過ごしたい。
「おーい、ルキア。いい加減出てこい」
声をかけても返事はかえってこない。
「おーい、ルキ「五月蝿い!!」
「お前何して…って何だその格好は!?」
「貴様知らぬのか?今日は「クリスマスだろ」
「何だ、知っておるのではないか」
「だからって何でそんな格好してんだよ」
「クリスマスにはこれを着なくては、サンタさんがプレゼントを持ってきてくれぬのだ!ほれ、一護の分もあるぞ!」
そう、ルキアが着ていたのは赤いサンタ服。
しかもスカート丈がやけに短く、細くて白い肩と腕も剥き出しになっている。
「誰に吹き込まれたのか知らねぇけど早く着替えてこい」
「なぜだ!?もしや貴様そんなこと言って私のプレゼントを奪うつもりだな!?」
「はぁ!?なんで俺がお前のプレゼントなんか奪わなきゃいけないんだよ!そもそもサンタなんかいねぇよ」
「なっ!本当か?」
「あぁ」
「ならば誰が私にプレゼントをくれるのだ?」
「さぁ」
それを聞いたルキアはシュンとうなだれて押入れ戻った。
ほんの数秒で出てきたルキアは先ほどと何も変わらない格好で、手に伝令神機をもっていた。
「なぁルキア。せっかくのクリスマスなんだしさ、どっか行きたくねぇの?」
「いや、いい。今から井上達を呼んでクリスマスパーティーをするからな!!一護も参加して構わぬぞ!」
「え?」
どこか行きたいとねだってくるだろうと思っていたためルキアの言葉はあまりに意外だった。
「それはダメだ」
「なぜ?」
「なんででもだ」
「石田や小島も呼ぶのだぞ?」
「尚更ダメだ」
「なんだ、妬いておるのか?」
「違うけどダメだ」
いつの間にか二人はルキアの伝令神機をめぐって争奪戦をしていた。
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