文ストNL小説短編

□バレンタインと芥川【2017年バレンタイン小説/芥樋】
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いきなり、樋口からチョコを渡された。
「いらぬ」
「今日はバレンタインですから」
「それがどうした?」
その言葉に、全員が驚いた。


何だというのだ?
「本当にあの事、知らないんでしょうか?」
「だろうな。本人には秘密だって、言ってたからな」
「ですよね」
「何の事だ?」
そう言ったら、立原と中也さんは黙って、外に出ていった。


それにしても、先ほどから樋口が静かだな。
「姐さん、固まってる!?というか、泣きそうになっ」
「お兄ちゃん……謝って…」
横から声をかけられた。
銀、か。
何故、怒りかけてるのだろうか?


「僕は悪くな」
「樋口さんがお兄ちゃんのために……頑張って、チョコ…作ってたの……私も、他のみんなも知ってる…」
銀はそう言って、部屋から出ていった。
物凄く、気まずい。
「樋口」
「……はい…」


「そのチョコは貰う」
「ですが!」
「文句は言わせぬ」
「でも」
「良いから、渡せ!」
僕だけのために、作られた物だと知ったしまったのだから。

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