過去ぱち(・ω・`)
□拍手連載まとめ
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大きな戦が何度かあった。
俺はそのたびに嘲笑(ワラ)う。
人間様、人間様ご苦労なことで。
何回やっても飽きないんでしょう。
さあさあ、今日は何のために戦うのですか。
どうかどうか、物分かりの悪い『俺ら』にも分かるように説明してみて下さいな。
それから、それから数百年。今日も変わらず待ちぼうけかと思っていると、本家の方から産声が聞こえた。
「サネ様サネ様、」
ソレと同時に一匹の手下が蔵に飛び込んできた。
「何だ、騒々しい」
手下は息も絶え絶えに俺に吉報を告げる。
「どうやら『見える』人間が産まれたそうです」
そうか、やっとか。
何年いや、何百年の後に産まれた乳飲み子。
手下を下がらせれば、俺は盛大に笑う。歓喜に咽ぶ。
「待ちどうしかった。ならば、俺も準備を始めるとするか。」
南の沢の人情(妖怪情?)に篤い『何か』。ちなみに南ノ沢では長だった。沢だからって河童ではないぞ。むしろ外国とやらの湖の女神に近い何か。それが、俺。志と書いて『サネ』と読む。母様が付けてくれた、大切な名。
だがしかし、そうだな、人間様の様にちゃんとした名前が必要だ。
「うーん…」
「南沢篤志、なんてどうです?」
頭上から降ってくる声に顔を上げれば霧の『何か』が立っていた。
「お前か…」
「残念そうな顔しないで下さいよ。いいでしょう?南沢篤志。人間っぽい。」
悪戯っぽく笑う霧の『何か』の髪を無言で引っ張ると奴は姿を霧に変え、声だけでこう言った。
「俺、今この先の神童ってところの庭に居座ってんだ。今度来てみて下さいな」
「…アホか。名前、ありがとな」
「いえいえ。じゃあ、また南沢さん」
「…ああ。」
慣れない名前を気恥ずかしく想いながらも、俺には一つの目標が出来た。
『南沢篤志』として人間様に混じって生きるという、馬鹿げた目標が。
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霧野さん登場。南沢さんの名前は無理矢理感が否めない。
南の沢の人情に篤い志様ってww
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