短くどうにか

□煙のように
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※微々微々微注意警報
ホントに注意しなくても大丈夫なくらい←







情事後、俺はするりとベッドから抜け出し眠っている倉間を横目にシーツだけを体に巻いて部屋を出た。
だいたいは事に及ぶときは両親があまり家に帰ってこない俺の家だ。
今日も例外なくその通り。




ズルズルとシーツが床を這う。
腰の痛みなどはとっくに慣れてしまっていた。
床を裸足で歩き風呂場に向かいながら、べちゃりとした体を見て笑った。
どちらの体液だか分からない白濁やら汗やらでシーツも体もべちゃべちゃだ。
まだ倉間とは体を重ねて数回、あいつが後処理まで気が回るようになるまでどれくらいかかるだろうか。


鎖骨や首元には赤い華。
付け方を教えてやったら容赦なく見えるところまでつけやがった。
その所有印を愛しく思いながら指でなぞる。



「こんな気持ち、お前が初めてだよ」





幾重にも男と体を重ねたことはある。
知らないオヤジや教師に、先輩に、同級生、後輩に…。だが、どの行為にも愛などなかった。
ある時は小遣い稼ぎ、ある時は内申と成績稼ぎ、ある時は無理やり、ある時は寂しさを紛らわすため。
来るもの拒まず、去るもの追わずがモットーだった。




「まさか、この俺がね、」

あんなヘタクソにハマるなんて。
愛とか恋とか怖いなぁ、とか他人事みたいに思えた。






シャワーを浴びて体液を洗い流す。

体にまとわりつく気持ち悪さはなくった。
でもその気持ち悪さも愛しく思えるなんて、ホントに俺はどうかしてしまったのではないだろうか。








風呂場から出ると、倉間が情けない顔と格好をして立っていた。


「おまっ、どうした?」

「南沢さんっ…」

がばり、と倉間に抱きつかれた。
倉間の体は俺の体がそうだったようにお互いの体液べちゃべちゃだ。
俺はシャワーを浴びたばっかりで腰にタオルを巻いただけ。
もう一回入り直しだなぁ、なんて考えていると倉間が泣きながら俺に訴えてきた。



「どうして、あんたはいつも、」

「はいはい、悪かったって。」


汗ばんでいる頭を軽く撫でてやる。


「すぐ、ヤったらどっか、行って…」

「だから泣くなって」

「俺は、不安なん、スよぉ…」

「どうして?」

「俺はっ南沢さんみたいに、慣れて、ないからっ」


あ、自覚はあったんだ。
口には出さないけど意外だ。


「お、れじゃぁ…」


完全に理性の糸が切れたのか、もう泣き声で会話にならない。


「はいはい。とりあえず風呂入って落ち着こうな?」

「は、ぃ…」




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