短くどうにか
□特別に寒いから
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もう12月にもなると流石に肌寒くて、しかも朝練に行くための通学路なんど論外なほどに寒いのだ。
「寒っ」
玄関のドアを出て一言目がこれだ。
どれだけ寒いか分かってもらえるとありがたい。
俺はすでに冷たくなり始めた指先をポケットに突っ込む。
歩き出して数分でふぁ、と大きな欠伸をかましてしまった。
生理的な涙を拭いながら、昨晩の倉間とのメールを思い出す。
「あいつ、バカだよなぁ」
クスリと笑みがこぼれた。
倉間のが綴る一言一言がとても愛おしくて、着信メールはすべて保存してある。
なんて、本人には絶対に教えてやらないのだけれど。
「何ニヤニヤしてるんスか?」
「えっ、あ、倉間…。なんでもねぇよ。」
いつの間にか倉間に背後をとられていた。
そんなに俺は物思いにふけていたのか。
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