短くどうにか

□特別に寒いから
1ページ/3ページ



もう12月にもなると流石に肌寒くて、しかも朝練に行くための通学路なんど論外なほどに寒いのだ。


「寒っ」

玄関のドアを出て一言目がこれだ。
どれだけ寒いか分かってもらえるとありがたい。

俺はすでに冷たくなり始めた指先をポケットに突っ込む。

歩き出して数分でふぁ、と大きな欠伸をかましてしまった。
生理的な涙を拭いながら、昨晩の倉間とのメールを思い出す。


「あいつ、バカだよなぁ」


クスリと笑みがこぼれた。
倉間のが綴る一言一言がとても愛おしくて、着信メールはすべて保存してある。


なんて、本人には絶対に教えてやらないのだけれど。


「何ニヤニヤしてるんスか?」

「えっ、あ、倉間…。なんでもねぇよ。」


いつの間にか倉間に背後をとられていた。
そんなに俺は物思いにふけていたのか。


次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ