短くどうにか
□あんなに寒がりの君が
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風呂上がり、自室でくつろいでいると不意にメールの着信音が鳴った。
「南沢さん…?」
そのメールは愛しい恋人である先輩からであった。
こんな時間に何の用かと訝しげに携帯を開く。
メールには簡潔に、今すぐ電話しろと記してあった。
「電話しろって…」
偉そうに。
本人がその場にいるわけでもないのに、心の中でしか悪態をつけない俺は男としてどうなんだろうか。
そんなどうでも良いような思考を巡らせているうちに、もう一度携帯が鳴った。
今度は電話着信だ。
焦りながら表示される番号を見れば、やはりというべきか南沢さんのものだった。
ピ、と震える指で(何故震えてるかは俺にも分からない)通話ボタンを押して携帯を耳元に当てる。
「っはい、もしもし…」
「遅い。」
「すみません。」
少し苛立った口調に反射的に謝ってしまった。
こんなの俺のキャラじゃない。
改めてコホンと咳払いをして話を切り出す。
「…南沢さん、何の用スか?」
こんな時間に、と付け足すと南沢さんは小さく笑いながら一言。
「外、見てみろよ」
それだけ告げると、電話を向こうから切ってしまった。
「…一体何だってんだよ?」
まさか、外で待ってるとかそういうオチなのだろうか。
俺は少しだけ期待を抱いて部屋の窓を開けた。