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□恋する娘はかわいいのだ
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「えっと・・・こっちの角を右に曲がって・・・」

散葉は1人、紙と袋を片手に道を曲がる

ここは魔物の大陸

シグマとの件が一着し、皆がそれぞれの道に歩んでいた

プリノは魔王になり

紅とキャロルはその魔王プリノの側近

小桃と昴はまた旅に出て

散葉と妃杈はクレバート邸で住み込みの仕事をしている

そのはずの散葉が、なぜ魔物の大陸にいるのかというと・・・

率直に言うと、プリノたちに会いに来たのである

ケインの勧めもあり、休暇を貰った2人は魔王城へと足を運んでいた

以前ならば、人間が魔王城に入るなど、ありえない話であったが、

現魔王であるプリノの頑張りもあり、魔物と人間との対立は少しずつだが薄れつつあった

そして、1人で角を曲がる理由は約1時間前にある

紅・キャロルは突然現れた大量の魔物退治

妃杈も人手が足りないとのことで、同様に退治に駆り出された

「忙しそうですね みなさん」

魔王室の椅子に腰掛けていたプリノとその横で立っていた散葉は、忙しなく出て行く3人を見送った

「3人が帰ってきたら、お茶にしましょう ちょうどおいしい紅茶もありますし・・・」

そう言ってプリノが棚から茶葉を取り出す

だが『あら?』と声をあげた

「どうしたん?」

散葉はプリノの手元を覗き込む

「おかしいですね、買い溜めしておいたお茶菓子が切れてます」

確かにプリノの手元、本来なら茶菓子を置いている所はもぬけの空だった

「仕方がありません 今から買いに行きましょうか」

そう言ってプリノがコートを手に取ろうとした瞬間

コンコン

扉の外からノック音が響く

「はい どうぞ?」

プリノが応答すると、扉が開き、軍人と思われる青年が姿勢を正して立っていた

「魔王陛下 今から会議を行いますので、移動をお願いします」

「あら? 今日は会議の予定、なかったと思いますけど?」

「緊急会議です 近日、魔物が大量発生しておりますので、それについての・・・」

それを聞いて困ったような顔をするプリノ

そんな彼女を見た散葉は言った

「じ、じゃあ、私が買ってくる」

「えっ? チルハさんが?」

その言葉にプリノは驚いた表情を向けた

散葉は必死に言う

「道なら大丈夫 この前プリちゃんと一緒に行ったけ、地図も持っとうし・・・」

「は、はぁ・・・」

そうは言うがプリノはやはり心配そう

しかし、こうしている間にも事態は深刻化している

一刻も早く会議に向かわなければ・・・

プリノは机から袋を取り出して、散葉に手渡す

「中には財布と携帯が入っています、もし何かあったら携帯で連絡して下さい
 お菓子の種類はお任せしますので、4、5箱ほどお願いします」

そう言うと、プリノは青年の後に続いて魔王室を出た
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