捧げ物
□ひなたへ
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「ブレイク、紅茶が入りましたよ」
「ありがとうございま〜す」
後ろを振り向き、寝間着姿のシャロンからカップをもらう。
白い湯気を鼻にあてながら甘い紅茶をすすっていると首から下げていたタオルを引き抜かれる。
「子供じゃないのですから、髪ぐらい拭きなさい」
そう言って、濡れている頭にタオルを乗せ、優しく毛先から拭いていく…。
今日はお嬢様とレベイユに行った…
その途中、雨にうたれてこの座間だ。
「母性本能ですか?オバさん化が進んできましたね(笑」
「お黙りなさい」
「そもそもシャロンお嬢様がいらない物を買いに行くからこうなったんですよぉ〜?」
「・・・・・いらない物?」
「私は目が見えなくてもいつも通りにやれますから、老後のためにしっかりお金を大事に
パン!
「・・・・・・」
「馬鹿!!!」
目の下に涙を溜めながら唇を噛み、こちらを睨んでいる。
「ザクス兄さんはいつもそうやって・・・いつもッ・・・・・いつも!もういいです!ザクス兄さん何て大ッ嫌い!!」
寝間着のスカートを揺らし、横を通り抜けて暖炉の前にうずくまり出ていって!!っと叫ばれる。
・・・・・はぁ〜
やってしまった・・・・・
分かっている
でも、どうしても、素直に伝えられない
小刻みに震える小さな背中が想像できる。
私は大馬鹿者だ。
気配を辿ってシャロンの後ろに立つ。
バサ・・・・
「!?」
「ごめん・・・シャロン」
「・・・・・分かっています、ごめんなさい」
私はいつも、この抱き締めている小さな背中に重荷を背負わせてしまっている・・・
「シャロン、もう少しこのままでいいかい?」
「え・・・?」
「もう少しだけ・・・このまま」
この温もりを感じていたい・・・・・