捧げ物
□りけへ
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バン!!!!!
「ッ・・・・・・どうした吹雪?」
すごい音をたてて開いたドアにビクっとした風丸が恐る恐る振り返るとそこには鬼が降臨したかの様な憤怒の怒りにかられた吹雪の顔があった。
ド、ド、ド、ド
一つ一つの歩みが力強く早歩きで部屋に入ってくる吹雪にその場にいた全員が顔を見合わせて、冷や汗をかく。
「ねぇ誰か、僕のきなこもち知らない!」
「きなこもち?」
「そう!!!冷蔵庫の奥のすみに置いてあったやつッ」
「水色のタッパーに入ってた??」
「うん!それだよッ風丸君知ってる!?!?」
「それなら俺が食べたけど・・・・・・・・まずかったか?」
顔をこちらに向けて問われ反射的に答えてしまったが段々と語尾が遅くなる。
吹雪の背後に黒いものがゴゴゴと漂い、プツっと糸が切れた様に顔を上げ怒鳴った。
「あれは白恋のみんなが僕に送ってきてくれたものだよ!?勝手に食べないでよ!!」
「わ、悪い!そうとは気付かずに・・・・「なんで誰にも聞かずに食べちゃうの!?風丸君、無責任だよッッどうしてくれるのさ!!!」
「ッ!・・・・さっきから聞いてれば、悪かったって言ってるだろう!?」
「何さッ!!」
「ちょっと二人とも、落ち着いて「「ヒロト(君)は黙ってろ(て)!!!!!」
「もう風丸君なんて知らない!!!」
「俺だって!!!」
同時にふん!と顔を反らして前のドアと後ろのドアから出て行ってしまう吹雪と風丸に軽く肩を落とし溜め息をつくヒロト。
「だ・・・・・・大丈夫かな、あの二人」
「大丈夫だよ円堂君」
不安を口から溢した円堂に振り返り優しく微笑んで「俺が何とかするから」そう言ってヒロトは部屋を出て行った・・・・・・・・
風丸を探して外に出たヒロトはグランドのベンチに座る背中を見つけた。
「風丸君」
「!・・・・ヒロトか」
声をかけると風丸はこちらを向く事もせず静かに名前を呼んだ。
ゆっくりと歩み寄り俯いて髪で顔が隠れている姿を見、苦笑いを浮かべ問いかける。
「隣り、いい?」
「・・・・・・・・・・」
「座るよ・・・・?」
腰を下ろして横に手をつき、前に広がるグランドを見つめて何から話そうと思考を巡らせ口を開こうとした時、隣りで悲しく笑い声を吐き出し風丸が喋り始めた。
「俺がいけなかったんだ・・・・・・なのに強く言われて頭にきて、後々後悔するんだ」
「うん」
「吹雪の大切な仲間からのだったのに・・・・すごく悪い事してしまった」
「・・・・うん」
「・・・・本ッ当、大人気ないよな・・・・・・はは」
「・・・・・・・・・・まぁ風丸君は大人じゃないけど」
「ヒロト・・・・そう言う事じゃなくて、言葉のあや「でも」
「大切な`仲間'にさっきのは言い過ぎだったんじゃないかなって俺は思うよ・・・・ねぇ吹雪君?」
「!?!?」
反射的に回りを焦って見る風丸君は木の後ろに小さくなって隠れている吹雪を見つけゆっくりと腰を上げる。
お互いに引き付けられる様にして二人の間に出来た間を埋めていく。
風丸を見つける前に吹雪を見つけ、ここにつれて来ていたのだ・・・・
最後の一歩を踏み出し向き合うが何を口にし、どう接すればいいのか戸惑っていると沈んでいる吹雪が切り出す・・・・・・・・・・
「風丸・・・・君」
「・・・・吹雪、あの・・・・・・俺ッ「ごめんなさい!!!」
「え」
「ごめんなさい!!ごめんね風丸君ッ・・・・仲間、ぅぅ・・・・なのに!仲間なのに!!!本当にごめッ」
「俺だって悪かった吹雪!泣くなよ・・・・・・」
「へへ・・・・・・・・ふぇ、ごめん・・・・ありがとう風丸君」
喧嘩したって
何があったって
最後には元通りになる
それが
仲間なんだ
「さぁ二人とも、みんなの所に戻ろう」
その繋がりは
「あぁ」
「うん」
永久不滅