捧げ物

□カトラス様へ
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「・・・・ここ・・・・・・は?」

ふいに意識が現れると目を開き、辺り一面白い空間に包まれているのを体の向きを変えながら見渡し、片手に持っていた人形を胸に持ってきて両手で力強く抱き締める。

「あら・・・・」
「ッ!?!?」
「残念、ここでは魔法は使えないわ」

咄嗟に構え意識を集中させようとした直前にまた声をかけられ、その言葉を無視はしたもののどうやっても詠唱の陣が出てこない。
黄緑よりやや薄めの長い髪にドレスの様な服を着、優しい笑みを浮かべた女はまた口を動かす。

「間違えて“こっち”に迷いこんでしまったのね・・・・・・貴女は“こっち”じゃないは貴女は向こう」
「・・・・・・・・」

女は躊躇する事なく真っ直ぐ右に指を差してまた黒い軍服に可愛らしいピンク色をした長い髪の女の子に微笑みかける。
いつもと変わらない睨んでるのかオドオドしているのか分からない顔で女の子は指された方へと走り去って行った。




















「・・・・!」

指された方へ何も変わらない、白い空間をずっと歩いていると前から金髪の長い髪に白い服をした・・・・少女?が歩いて来た。
あちらもこちらに気付いた様に小走りして近付いてきて声をかけられた。

「君!名前は?」
「・・・・・・アリエッタ」
「ここがどこだか分かる?」
「分からない・・・・でも」
「でも」
「黄緑色の長い髪をした優しい人が私は“こっち”じゃないあっちって言われて」

その私の言葉を聞くと話すまでは少女だと思って疑わなかったがまだ声変わりを迎えてないが低めな声に男と判明した、男の子は腕を組み数秒考えた後に顔を上げた。

「そいつに聞けばここが何処だか分かるかもしれない・・・・その女の人はどっち?」
「あっち」
「ありがとうアリエッタ、じゃあまた」

アリエッタは躊躇なく来た道を指差し、挨拶をして通り過ぎて行く少年の背中に手を振り数秒見つめた後、また前を見て一直線に歩き出した。



















何時間歩いたか分からないがその割にはまったく疲れないのに疑問を持ちながらも一歩、また一歩とただ真っ直ぐに進んで行くと視界を覆っていた様な本当に薄い霧が晴れて視線の先に物影が映し出された。

「ッッッ・・・・」










「みんな!!!」

感動のあまり叫んで色々な種族の魔物の中に飛び込み抱きついたり、撫でたり、舐められたり・
・・・懐かしい匂いと雰囲気に敵に殺られて逝った仲間と言うよりか友達や家族に等しいまたも会えるとは思ってもいなかった。
「ッ!?」










・・・・あぁ











そう言う事か












それでも私はいい





だってここが











「聞いて・・・・お友達が出来たの、『ありがとうアリエッタ、じゃあまた』って言ってくれたの・・・・」





私の天国


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