Novel
□ト或ル昔ノ御伽噺
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『それは、嘗て栄華を極めたとある王国のお話で御座います』
第一章 くろのおうこく
むかしむかし そのばしょには
おおきなおおきなおうこくがありました
おうこくのしろは まっくろでした
おうこくのひとも まっくろでした
そして じめんも そらもぜんぶ
なにもかもが まっくろなくにでした
くろいおうさまと くろいおきさきさま
どちらもきれいでしあわせでした
でも ふたりにはあかちゃんがいません
ふたりは かみさまにねがいをかけました
『わたしたちに こどもを さずけてください』
かみさまは ふたりのねがいをかなえてくれました
そして しわすのおわりごろ おんなのこが うまれました