世界が輝くとき
□雨の午後
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あの事件が起きてから二日後のお昼時。
ぽとんと、冷たいものが、寝ていたあたしの肩に当たった気がした。
「ふぁ?」
寝起き恒例のあくびをしながら伸びをする。
地面で寝てるから関節のあちこちが軋んだけど、いつもの事だから気にしない。
だけど、なんか外が煩い。
と、何気なく外へ目を向けた次の瞬間、飛び起きて一気に入口に詰め寄った。
空は鉛色。水分をたっぷり含んだ重々しい雲から、水滴が落ちてくる。
雨だ。それも、かなり大降りで、雨に打たれた土が跳ねる程。
「うわぁっ、最悪!」
大嫌いな天気にショックを受けてその場にへたりこんだ。
だけど、あたしは勿論、天井がないはずの幹の中は濡れてない。
何で?と思いつつ上を見ると、大きな葉っぱが何枚も重ねられて屋根になっていた。
こんな事をするのは一人しか知らない。
すると、森の奥からバシャバシャと水を蹴って見知ったポケモンが走って来たのに気づいて、慌てて横に避けて道を譲る。
「タブンネ、大丈夫?こんな雨の日に外へ行ったのか?」
『平気ですよ。ちょっと実をつんできたら、帰り道でこの子達が濡れていたもので、一緒に連れて来ちゃいました。』
「うん?」
言われてタブンネの腕の中を覗いてみると、5つの青いオレンの実に混ざって白い実が二つ、カタカタと震えていた。
「これって・・・。」
『モンメンというポケモンです。水を吸い過ぎて冷えてしまったみたいで・・・。』
「いやしの波動は?」
『今からかけます。』
言うなり、実と一緒にモンメンを地面に降ろした。
ぐったりしているモンメンに、タブンネが手をかざす。
すぐにその手から緑の光がこぼれて、モンメン達を包む。
とたんにモンメン達の表情がほわんと和らいだ。
『あった・・・かい。』
ぽつりと小さくモンメンが呟くのん聞いて、あたしも嬉しくなった。
「大丈夫だよっ。タブンネの腕前はあたしがバッチリ保証する!すぐ良くなるさ。」
あたしも肩を治してもらったからなと付け加えてニッと笑えば、モンメン達も笑い返してくれたっ。
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