世界が輝くとき
□温かい影
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「このガキ何すんだ!」
フレアは男のひとりと取っ組み合いを繰り広げたが、優勢なのはフレアだった。
男の顔を引っ掻くと一旦バック宙して距離をとる。
「ゾロアの心がわかんないあんた達に言われたかないね!知らない奴にいきなり仲間から離され、暗くて狭い場所に何時間も閉じ込められて…どれだけゾロアが怖かったか!」
幼かった自分の状況と酷似していたゾロアを思って吠えると再び瞳をぎらつかる。そして手加減なしに思いっ切り柔術の廻し蹴りを男に放つ。
そんなフレアのすぐそばでも、バルジーナ達とゾロアークの戦いが繰り広げられていた。
けど、ちらりとその様子を見て、ゾロアークの動きが不自然だ。
何?何なんだ…?
戦う相手の二匹のポケモン。対しゾロアークは一匹。……一匹?
あ、ゾロアークについていたはずのゾロアがいなくなってるんだ!
「ゾロアどこだッ。」
『お姉ちゃーん!』
叫び声に慌てて振り返れば、暴れるゾロアがもう一人の男に床に押さえつけられていた姿があった。
「!?」
「捕まえたぜこいつ!ったく手間かけさせやがって!」
『ママぁ…たすけて…。』
ゾロアークもゾロアの悲鳴に気づいているはず。だけどバルジーナとレパルダスが邪魔をしていて手が離せないみたい。
・・・あたしがやらなきゃ誰がやる!
「ゾロアを離せ外道がァ!」
相手をしていた男の後頭部に渾身の力で膝蹴りを決めて倒すと、すぐにゾロアに向う。
「動くな!」