世界が輝くとき
□白黒の光
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ガサガサっ バサッ!
ずっとあたしを背負って木の上を走ってきたゾロアークがコンクリで固められた地面に着地する。
振り落とされないように肩に力を入れてたから走るよりも辛かった…。
下りたところのすぐ側にはミュージカルホールと書かれた看板があった。
…読めなかったけど、中に入って行った人が言っいた。
「にしてもゾロア探したいけど、眩しーっ!」
『ライモンシティは都会ですから。ネオンで夜でも昼みたいに明るいんです。』
あたしは腕で顔を庇うと苦い顔して街を見つめる。
「・・・あたし、光は嫌い。だからこの街も嫌い。」
『たしかに目が痛くなりそうですからね』
「・・・うん。…それはそうと、ゾロアークは人に変身して。ポケモンのままじゃ目立つよ。」
『ではそうしましょう。』
ゾロアークは一度あたしを降ろすと見事に女の人に化けてみせてくれた。
…何気に背が高いし、美人さんでフレアびっくり。姉さん!って呼びたくなっちゃうくらい。
『これでよろしいですか?』
「あたしより美人さんだよ・・・。」
『えっ!あの、どこかいけませんか?!』
「大丈夫だよ、十分人間を誤魔化せる。ところで場所は?早く行こうよ。」
『そうですね!・・・でもフレアさん、その格好・・・。』
言われて初めて自分の格好を見下ろしてみた。そしてゾロアークの言い分ももっともだと思った。
麻でできた半袖のワンピースはすそが焼け焦げていたり、ズタボロになっていた。おまけにずっと裸足だ。
戦場で生きてきたあたしでもひどい格好だとは思うけど、これが普通だったし・・・。
「洗ったんだけど、気にすんな。後でハハコモリに服作ってもらうよう頼んでみる。」
『そ、そうですか。ではもう一度乗ってください。おそらく奴は地下鉄で逃げるために、バトルサブウェイ、駅に向かうでしょうから。』
「でもさらわれたのは夕方でしょ?深夜近くなのにまだいるのかな?」
『ああゆう輩は一匹捕まえただけで満足するはずがない。きっと最終列車まで粘るでしょう。』
ゾロアークの一言になるほどと頷くと背中に乗った。