恋の片道切符
□1.
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「よし、終わり。」
俺は手に持ってた最後の書類をデスクに放り出すと、すぐに帰り支度をして外へ出る。
外に出ると丁度ジュンサーさんがバイクをひいて戻って来たので一応声をかけておく。
「あ、ジュンサーさん見回りお疲れ。ライモンシティの件の書類は俺のデスクの上にあるから、後は任せるよ。」
「はっ、了解致しました!お疲れ様ですエイマ様。」
ビシッと敬礼を決めたジュンサーさんに、はにかみながらも「夜勤お疲れ様」と伝えると、俺はベルトについてるボールを投げた。
「キュウゥン!」
現れたのはトゲキッス。イッシュチャンピオンも倒したかなりの強者だ。
「さあ、帰るよ。」
「キュウゥン!」
そんなトゲキッスに乗ると彼女はすぐに空へ舞い上がった。
少し後ろを振り向くと、今し方出て来たビルの上に金色で書かれたヒウンシティ警視庁の文字が眩しく見えた。
ライモンシティの一角にある家の前に着くと、すぐにトゲキッスから降りる。
「いつも悪いなトゲキッス。」
トゲキッスを労うと、彼女は気にするな。と言うように俺に頭を擦り付けて甘えてくる。
「ありがと。じゃあ家に入ろうか。」
と、俺がトゲキッスと開いたままの門をくぐろうとした時だ。
「嫌です!離してくださいまし!」
突然、家の曲がり角から女性の大声が響いてピタリと足が止まった。
なんだ?ケンカか?空から見下ろした時は誰もいなかったハズだけど…。