世界が輝くとき
□平和な森
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「よかった・・・だって?お前なのか?」
『お前じゃないです。タブンネです。』
「また聞こえた!意志疎通できたの、おま、じゃないタブンネ?だっけ。初めてだよ。」
『私も、ポケモンと話せる人と初めて会いました!』
「ポケモン・・・?なにそれ。ちょっと説明して!」
自分の必死な剣幕にも負けず、タブンネは笑顔で頷くと面倒くさがらず一つずつ丁寧に教えてくれた。
この世界のあちこちには沢山の種類のポケモンという生き物が住んでいること。
イッシュと呼ばれる地方で、ここは迷いの森だということ。地獄でも天国でもないこと。
ポケモンはトレーナーに捕まえられたらその人がおやになるということ。ポケモンの捕まえ方や道具のこと。
タブンネも以前手持ちで旅をしていたが逃がしてもらったため、一通りのことは知っているらしい。
など、聞いていた側にとっては驚きの連続である。
「まじですか。じゃあ何、あたしは別の世界にトリップしちゃったの?!」
『おそらくですね。』
以外と冷静に頷くタブンネ。対して自分は脱力して俯いた。
(ごめんよみんな。あたしだけ生きてて、本当にごめんなさい!)
生まれてこのかた封じ込めていた涙を両手で隠しながら泣いていると、タブンネが優しく背中をさすってくれた。
きっとこの世界にきてとまどっていると思われたのだろう。
けれど今まで感じたこともなかった優しさに急に胸が苦しくなって、あたしはタブンネに飛びつくと、母親にすがる子供がするようにわんわん鳴き出してしまった。
けれど数分後には意識が途切れていた。
後から聞いた話によるとタブンネにあやされるうちに、草の上で眠ってしまったらしい…。