□若と先輩。
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『若見ぃーっけ。』


部誌をかいている彼…日吉若を見つけ勢いよく抱き着くが。
彼は一瞬びくりと肩を跳ねさせたが大きくため息をつき、何事も無かったかのように部誌を書き続ける。



『っ!…ねーねー、なんで無視するのよ〜。』

「…………」


彼女の問いを無視し、
ひたすら紙の上に文字を並べていく。


『ねぇってばー無視しないでよ〜』

「………。」

若は書いていた手を休め、彼女の腕を退けると、立ち上がる。

『っと…若?どこ行くの?』

「先輩…」
『ん、何々?』




「迷惑です。いい加減にしてください。」

若はやっと口をひらいたかと思うと、名前にぴしゃりと言い放ち何語も無かっかのような顔で席を立った。








「……はぁ」

シーンと静かな廊下…
ため息をつくといつもよりも
増して響くから
それにまたため息をついた。


―――毎日当たり前のようについてきた先輩がいない。
これが自分の発言せいなのかと思うとなんだか急に苗字先輩の事が心配になる。


「……少し、言い過ぎたかもな。」



誰も居ない廊下でポツリと呟いて一つ息をつき、方向転換をし先輩のいる教室へと足を運んだ。





ガラッ

先ほどいた自分のクラスにつくと同時に勢いよく扉を開けた。

『……苗字先輩』
「若っ!…ごほんっ……なっなに?」


教室に入り声をかけると
先輩は俺を見て一瞬喜んだかと思えば慌てて顔をしかめツンとした態度をとる。


「苗字先輩…」
『っ…なっなによ』

「……別に、迷惑じゃないです。」

『へ?』


先ほどまで眉に皺を寄せていた先輩がキョトンとした顔でこちらを見る。

はぁ……全部言わないとわかんないのか…この人は。


「毎日あいに来ても良いって言ってるんです。わかりましたか」


『う…っうん!!』


そういって飛びついてきた苗字先輩を抱きしめてしまう俺は、先輩の事が好きなんだな、って改めて思った。






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