□ホントの気持ち02
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*君のホントの気持ち*続き










まだちょっと昨日のことが
夢みたいで顔が緩みきっていた
そのせいで真田副部長の鉄拳をくらった
いつもなら嫌だけどそれすらも
どうでも良くなるほど俺は浮かれてた


朝練が終わって制服に着替えて教室に向かう途中今1番会いたいと思ってた名前先輩がいた。
見つけた瞬間心臓がトクンッてはねたのがわかって俺は歩くスピードを早めて声をかけようとした。

…がそれは横からきた人達によって
敵わなかった。


「名前!はよっ」
『あっブン太っ!おはよー』
「クスッ今日も可愛いのー」
『まっ雅治!!も〜普通に挨拶してよ!』
「いいじゃろホントの事なんじゃし」
『よくないっ!……あっ!赤也っおはようっ』
「………」

名前先輩に声をかけられたけど俺は聞こえないふりをして名前とは違う方向に向かって歩き出した。
名前は丸井先輩達と同じクラスで友達
そんなのは知ってた。知ってたんだけど
それがなんか凄くーー悔しかった。

『あれ……赤也…どうかしたのかな?』

「(ククッ…赤也もまだ子供やの…)多分聞こえなかったんじゃなか?」
『そっ…かなぁ……。』

んー結構声大きかったはずなんだけどな…ってまだ言ってる名前を横目に俺は赤也にメールを送った






.





チャイムがなってホームルームになってからも俺はもやもやしてて机に突っ伏してたらポケットの中にあるケイタイが揺れた

「ん…誰からだ?……仁王……先…輩?」

ケイタイのディスプレイを見て見ると仁王先輩と表示されていた。今は余り見たくない名前だったけど一応見ておかないとな…、そう思ってメールを見た。



ーー
To:仁王先輩


あんな態度なら
俺が名前の事
貰っちまうぜよ






「っ……名前っ!!!」
「おいっ切原!!ホームルーム始まってるぞ!何処行くんだ!!」

ガタンと勢いよく椅子から立ち上がって駆け出した。
途中担任がなんか言ってるみたいだけどそんなの今はどうでもいい。
俺は名前のクラスまで全速力で走った


ガラッ

「名前っ!!」
『えっ!?赤也っ!?』
「……赤也」
「…いくら仁王先輩でも名前はあげないッスからっ!!」

名前の担任にもなんか言われたけど気にせず腕を引っ張って教室を出て屋上に行く。
その途中で名前がなんか言ってたけど気にせずどんどん階段を上る。
屋上について足を止めたらやっと名前の声が耳に入った


『赤也…赤也っ!手痛いってばっ』
「っ!ごっごめん」
『大丈夫だよ…でもなんでいきなり連れ出したの?』
「………」
『赤也?』
「…仁王先輩に」
『え?』
「仁王先輩に名前が取られるかと思った」
『へっなんで!?』
「だって名前と仁王先輩仲良いし…」


って言うと名前が始めて会ったあの日と同じように目を真ん丸にしてからふんわりと笑った

『ふふっ』
「っなに笑ってんスか」
『だって嬉しくって』
「?」
『それって"嫉妬"してくれてるんでしょ?』
「そうだよ……悪いッスか?」

["嫉妬"してくれてるんでしょ]なんて名前が凄く嬉しそうに言うものだから俺は言い方は素っ気なかったけど柄にもなく素直に言ってしまった
したらまた名前が嬉しそうに笑うから俺もつられて笑った





.





『じゃあ無事仲直り?した所で…教室もどろっか』
「……」


そういってくるりと振り返って扉に向かって歩き出した名前の腕を無意識に掴んで後ろから抱きしめた


『あか…や?』
「もうちょっと…もうちょっとの間、このままでいさせて……」

柄にもなくそんなセリフじみた言葉を言いながら俺は後ろから名前を強く抱きしめた


『あっ赤也、はっ…恥ずかしいよっ』
「大丈夫ッスよ。今ここに居るのは俺と名前だけだから」
『でっでもちょっと近過ぎ』
「やなの?」
『嫌じゃ無いけど…』
「じゃあ良いじゃん」
『うう〜っ…なんか今の赤也意地悪だ〜』

ポソリと名前は呟いて下を向く
俺より身長が小さいのは何時もと変わらないんだけど恥ずかしがって俺の胸に顔を埋める名前がなんだか今はもっと小さく見える…
それがとても愛おしかった


「ねぇ、名前」
『…ん?』
「こっち向いて」
『ーーなに?』
「目ぇ…つむって…」
『……うん』


ちゅっ…っと
可愛いしく音をたてて
唇を離す

目を開けたら目の前に顔を
真っ赤にして俯いてる名前がいて
つられて俺の顔も赤くなったので下を向いた

少ししてからもう一度顔をあげるとちょうど名前も顔を上げたのか
目があって二人で笑って…


それからもう一度。



どちらからとも言えない
深く深くキスをした。













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