わんだふるでいず

□赤く
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こんにちは。
苗字名前です。
えーと只今私は……



バチーン!

「侑士の馬鹿ぁっ!!」




修羅場に遭遇してしまいました。





えっ?なんでそんな所居るかって?
私だって聞きたいよ。
ただベンチでうっかり寝ちゃってて起きたらいきなりそこが修羅場だったんだもん。
そして驚くことに、その場にいる人がまさかの知り合いの忍足侑士君だったのだから。



『侑士君…大丈夫?』

「あ…名前ちゃん?おったんか?」


私の方に向き直って愛想笑いをした侑士君になんだかちょっと胸が傷んだ。


『まぁ……うん。でっでも決してきくつもりとか無かった…って侑士君頬が…!』

「ん?あー…ははっ、これかぁ…名前ちゃんに格好悪い姿見られてしもたなー。」


そう言いながら赤くなった頬をさすりながら笑った。その笑顔がなんだか痛々しくて次の瞬間には声を荒げてた。


『そんなこと言ってる場合じゃ無いでしょ!早く冷やさないと!』

「大袈裟やなぁ。このくらい大丈夫や『大丈夫じゃないでしょ!いいから言うこと聞いて!』はい…」


私は侑士君の腕を引っ張り半強制的に保健室に引っ張って行った。


*****







『よし。ちょっと冷たいだろうけど我慢してねー』

「…んっ」


侑士君の頬に水で濡らしたタオルをあてたら冷たかったのか侑士君は小さく声をあげた。
(はれてきてる…痛そう。)


『これでしばらく押さえていれば大丈夫だよ』

「名前ちゃんありがとうな」

『いやいや、ていうか…さっきの子彼女さん?だよね……なんか大変な事になってたけど大丈夫?』


ちょっと遠慮がちに聞いたら侑士君はあぁーと思い出したかのように手をぽんとたたいた


「あれなー、彼女やないねん」

『え?違うの?』

「あっちが勝手に思い込んどるだけで付き合うん了承した覚えはないんや…それに…」

『?』

「あの子は本当の俺を知らんから」

そう言う侑士君の顔は笑っていたが何処か寂しいそうな顔をしてた。


「他の女の子達もそうや。皆ほんとの俺を知らん。顔だけしか見とらんのや。中身なんか見とらん」

『ふーん…でもさ、人って顔じゃなくて中身だよね』

「!?」

『だっていくら顔が良くったって性格悪いといやじゃん?』

「……」

『って、あれ?侑士君?』


フリーズしていた彼の前で手を左右にふってみたら、今度はふんわりとした優しい笑顔で見つめられた。


「なんや…謙也が惚れた理由が分かったかもしれへん。」

『へ?』

「なんでもあらへん。手当てありがとーな。」

『いえいえ。当然の事だよ』


「…手当てして貰ったお礼に一つ教えたるわ。…ちょっとこっち来てや」

『ん?』


手招きをする彼の方に近づくといきなり腕を引っ張られ彼の腕の中に閉じ込められた

『えっ!?ちょっ?ええぇっ??』

「……俺は欲しいモノは必ず手に入れるからな」

『えっ?あ、うっうん。』


侑士君は意味不明な言葉を残して
私を抱きしめていた腕を解き
保健室からでていった。

「……。」


私は一人保健室に残され
ただただ時間が過ぎていくのを
まっていた。



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