ONEW

□僕の彼女
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・・・・・・・・



人工的なモーター音、



遠くのほうで聞こえる




これは…






何の音だろう…







頭までかぶった布団を鼻の辺りまでめくり、キョロキョロと様子を伺うと、
パタパタとスリッパの音を小さく立てて、横切るララが見えた。






目線を天井に移し、ぼーっと見つめる。







部屋が静まり返って、さっきの音が止まっていたことに気づいた。


と同時くらいに、今度は電子音でつくられた短いメロディーが聞こえる。










答え、洗濯機。










再び布団を頭までかぶって、モゾモゾと寝位置を整える。



何度か目の寝返りで、ようやく落ち着くかたちを見つけた。







パタパタパタ…




これは、わかる。


微かに聞こえるこの音は、ララの足音だ。






僕の耳、
かなり高機能とみた。





・・・・・・・・・・。







モゾモゾ・・・






・・・・・・・・・。






モゾモゾ・・・





・・・・・・・・。





もう少し寝ていたかったのに…





・・・・・・・・・。




布団を、体が半分ほど見えるくらいめくって、体を起こした。
少しだけ勢いをつけて。




「ララー!」

朝一にしては、少し大きな声を出してララの名前を呼んでみる。




「・・・洗濯機回したでしょう」
続けて、今度は小さくつぶやく。

自分にもギリギリ聞き取れるくらい、うんと小さな声で。





ベランダの方向からララが戻ってくる音。


スリッパの音。



ララが寝室に顔を覗かせた。


『あ!ごめんっ!うるさかった?』



僕がベッドの上で起き上がっているのを確認すると、
少し驚いて、そのあと困った顔をした。




「気持ちよく寝てたのにー」

ララに聞こえるくらいの声で言う。





もう一度『ごめんね』と言って、ララはベッドの脇まで近づいてきた。

腕に抱えるようにオフホワイトの洗濯カゴを持って。




僕は、すぐ隣に立つララの方は見ないで、少し不機嫌そうにする。


「あぁー、完全に目が覚めちゃった・・・」




ララは僕と目線を合わせるようにベッドの端っこに座ると、
僕の目にかかる前髪をすっと横に流した。






『ジンギ、おはよう』

ララが、やさしく笑ってる。




一瞬、ふわっとやわらかい空気に包まれる。









僕はララが好きだ。



どんなときでも、僕がどんな態度をとっても変わらずにやさしい。




SHINeeのオニュはやさしいとか、やわらかいと表現される。
光栄でとても嬉しい。





けど、ララは、
オニュの僕と、ジンギの僕は同じ人物のようでいて、まったくの別人だ、なんて言う。



正直、僕もそう思うかも。



でも、そのどっちも僕であって、そんな僕をいつだってやさしく包んでくれるのがララ。




だから僕は、ララのおかげでオニュとしてやさしい存在でいられるのかも、なんて思ったりする。


ってことは、ララがオニュのロールモデルってことかな。








起こしていた上体を、勢いをつけてもう一度ベッドに埋める。




今日はもう少し、意地悪をしたくなった。



寝起きの僕はもともと機嫌が良くないんだ。
ジンギの僕はね。








バフッと風が起こって、ララがどかしてくれた前髪が僕の目を覆う。





『ごめんってばぁ。お布団頭までかぶってるから聞こえないと思ったんだけどな。笑
ごめんね?』

ララは、少し笑って謝る。






反省してるんだか、してないんだか。



そんなの、しなくていいんだけど。




つっけんどんなことを言ったり、子供みたいな態度をとっても、ララは怒ったりしない。
動じないで笑ってるララだから、こうやってもっとワガママになっちゃうってこともあるのかな?


でもそんな僕に付き合ってくれるところが結構好き。







時計を見たら12時を回っていた。
そりゃ、洗濯もするよね…むしろこの時間まで待っていてくれたんだろうと思う。





わかってる。
ララはいつも思いやりを持って接してくれる。

だから余計に甘えてしまう。




ララといるときは、どんなジンギでいてもいいんだ。





「目覚めが悪くてベッドから起き上がる気力が出ない・・・」

もう一度頭まで布団をかぶってまだぼやき続ける僕に、
ララは相変わらずやさしい口調で話しかけてる。




『ごめんってばぁ。機嫌直して?次からは気をつけるから、ね?
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