ONEW

□僕らの順位
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「ララヌナはなんて言ってた?」




仕事が終わり宿舎に向かう車の中で
突然キボムが問いかけてきた。



「え?なにが?」


「だーかーらー、
今日オンエアになってるあ!れっ!」


「あ、れ、・・・・」



ボーっと宙を見る僕にミノがぼそりと教えてくれる。



「メンバーのイケメン順位ですよ」



あぁ、今日オンエアだっけ。


あの、みんなが僕を横に追いやっていったアレね・・・。




のん気に収録日のことを思い返す。





それなのに、会話は僕の回想の終わりを待つことなく、
いつの間にか進んでいたみたい。





「ララヌナは、僕のこといっつもキボムは愛嬌があって本当に可愛い!
って言うからぁ、
オニュひょんの彼女だけど、僕が一番だと思うよ!」




「キボムよ、本気でそんなことを言っているのか?」




車に乗り込んだときから、ケータイをカチカチいじっていたはずのジョンヒョンが
やれやれといったポーズをとりながら首を横に振る。




話、聞いていたんだね。



「だって!お肌だっていっつも褒めてくれるしー、

僕と話をするとすごくドキドキするけど、楽しいから好きって言ってたしー、

くるくる変わる表情が愛くるしいって」




ララ、愛くるしいまで言ったのか…

何をたくらんでいるんだろう。

僕だって言われたことないよ…僕の彼女なのに…



「それは…



「なに?機嫌取ってるだけとかいいたいの!?
僕の機嫌取ってもララヌナにメリットなんてないもんっ!」



何かを言いかけたジョンヒョンに噛み付くように突っかかるキボム。

でもすぐに弱気になって、ぐずぐずなコメントに続く。



「まぁね、僕がご機嫌だったらぁー、

もらった新作のコスメとかあげるし、

お洋服だってヌナ好みのやつは譲ってあげたりするけどぉ…



でも…そんなののために媚びるようなヌナじゃないもんっ!」



キボムよ。


僕の彼女をそんな風に認めてくれて、
兄さんは嬉しいよ。



「俺、まだなんも言ってないよ。笑」


ひとり崩れていくキボムに優しく笑いかけるジョンヒョン。





ジョンヒョンは本当に優しい心の持ち主だと思う。


見せかけとかそんなのじゃない、
心自体が優しさでできている感じ。



優しさと平和と、平等で完成された心を持っているから尊敬する。



「俺にとってもキボムは愛くるしいよ、って言おうとしたんだよ♪」



そう、そして甘ったるいソースがかかっているんだ。


ジョンヒョンの心には。




「やぁだ♪」



まんざらでもないように女の子みたいな声を出して
喜びの意味とは反対の言葉を発するキボムがまた…



ほら、ジョンヒョンの二の腕に軽く触れてペチペチと叩いてる。



こうやって僕らは成り立ってるんだよね。






気づけば間もなく宿舎に到着する。



テミンは車が動き出す前から眠っていて、
ミノもまた知らぬ間に落ちていたようだ。




宿舎前の駐車スペースにバンが停車する。


普段ならマネージャーひょんが少し大きな声で僕らに着いたことを伝え、
僕らは目を覚ました順に淡々と車から降りた。




けど、今日の僕らは5人のうち3人は起きていたし、


3人も起きて会話をし続けていたからか、
眠りが浅かったのだろう、

エンジンの振動が響く停車中の独特の揺れの中で、
目を擦りながらテミンがガバッと体を起こした。



「テミン起きたか?着いたよ、部屋戻って風呂入ってちゃんと寝ようぜ」



無言のテミンは、体は起こしたものの今どこにいて何をしていて、
これから何をすべきか何も把握できていなかった。




キボムが隣でいつの間にか落ちていたミノを揺する。

うっとうしそうに眉間にしわを寄せ、

「んぁ?」そう言ったミノはとても色っぽかった。




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