TAEMIN

□約束
1ページ/1ページ





今日はSHINeeのコンサート。



公演2日目ということもあって、公演前のリハーサルも簡単なものしかない。

会場入りする前に時間ができたから、とテミンが会いに来てくれた。






「ララヌナ、今日の席どこー?」



『うんとねぇ、2階席の…1列目かな』



「えーーー!!!2階席なの!?遠いじゃん!
僕からララヌナ見えないじゃん!」




『そんなこと言われても…』




テミンがぶぅーとほっぺを膨らませて睨んでくる。





『だって、テミンがチケット取ってくれなかったんじゃん!!』




「あゎゎ!ごっごめんなさいっ!!!」




ちょっと大きい声を出したら、テミンはララから逃げるようにトイレに駆け込んで、
ちょこんと顔だけ出した。





「ララヌナ…?怒ってる…?」


『怒ってます!』





ウソ。

本当は怒ってなんてない。

わたしも一ファンだから、そんなズルしてチケットとってもらう気なんてはじめからない。





んー、それもウソ。



そりゃ、神席って言われる間近にSHINeeが見えるところで、参戦したいし、
取れるかどうかわからない抽選にハラハラしなくて済むならそのほうが嬉しいに決まってる。


だからって、一般人のララが家族でもないのに招待席に座れるわけはないし、

一般席での招待チケットとなると、これはこれで出演者本人でも確保するのが大変みたい。


今回も予定枚数分確保できなかったってテミンも落ち込んでたし。


今回、わたしは無事チケットを取れたわけだし。




けど、ちょっとビクビクしてララの様子を伺うテミンを見たら、
そのまま少しいじめたくなった。




ララがプイッとそっぽを向くと、テミンは慌てて走ってくる。




「ごめんね?ララヌナ。ね?
ねぇってば?」



ララの周りをくるくると回り、ララの顔を覗く。

テミンの顔が右側にくれば、左を向き、左側を覗いたら右を向く。

飽きもせず、しばらく続けるテミンにララは笑いそうになる。




ララが気を抜いた瞬間、テミンが顔をぐいっと寄せてきて鼻先が今にも触れそう。



『ちょっ//ぅわぁぁ』




耐えてみたけど、あまりの近さにララはバランスを崩して尻もちをついた。




『っうう…//…痛ぁぁ』




テミンはへたれこんだララと同じ目線になるようにぴょんとしゃがみ、

膝を抱え込んで、ララの顔を覗きこむ。




「くふふふ。大丈夫ぅ?」



『っ//んもうっ//』




テミンがしてやったりといった風に、ニヤニヤとあんまり嬉しそうに見てくるから、
ララは恥ずかしくなってテミンの肩をペシっと叩いた。



「いじけないでぇ?」





怒ってる風に演じるのに、テミンには全然通用してないみたい。


もう一度ペシッと今度は強めに叩いてみるのに、ニヤニヤした口元は変わらずに、
ララのほっぺをつんつんして機嫌をとっている。





ずるい、その顔。

可愛すぎる…//


間近にせまったテミンと、その可愛すぎる顔にドキドキしてしまう。

ララは本心を探られないように、平常心を装う。




『…//遅刻するよ。』




「あっ。そうだった!」




テミンは、慌てて立ち上がって時計を確認する。



ララは尻もちをついたまま、テミンにつんつんされてこそばゆかったほっぺをムニッとつまむ。

少しでも早く赤い顔が戻るように。





「ララ…」




テミンはララを見下ろすように名前を呼ぶと、目の前で屈んだ。



再び至近距離で見詰め合う格好。




『ん?』






chu…―



『…//』




「今日も、ちゃんと見ててね」



『うん…//』



「約束」






_

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ