TAEMIN

□いたずら
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「ララ−、練習させてっ」

『なんのー?』




夕食の支度をしていたら、テミンが突然話しかけてきた。




さっきまで真剣にDVDを観ていたのに、どうしたのだろうとララは思う。








テミンがララの家に遊びに来るときは、大抵何枚かのDVDを持ってくる。

それは一緒に楽しめる映画とかではなくて、テミンの勉強用の資料。

先輩の映像だったり、自分達が出演したステージの映像だったり、これから覚えるダンスレッスン映像だったり。




片時もSHINeeであることに余念のないテミン。


彼女との時間でさえ怠ることしないテミンをララは素直に受け入れていた。




かっこよすぎる//って内心思ってるくらい。




だからテミンがSHINeeモードのときは邪魔をしないように心がけている。



会える時間の少ない中、”一緒にいるのにお互いの時間を過ごす”ということにはじめは不安になったりもしたけど、


この時間がなければもっと会える時間がないのかもしれないと思ったとき、テミンの思いやりなんだと解釈した。



それにテミンはちゃんとララを大事にしてくれているので、さみしくなったりしないから。











「今度やるダンス」




『はっ!?わたしがダンスなんてできるわけないじゃん…』






「立ってるだけでいいから」





『なにそれ。笑』






いつもは集中していて、途中でララに話しかけるなんてことないのに。





リビングにいたテミンがララのところまで来るので、ララは持っていた包丁をまな板に置いた。






テミンはララの肩に手を置いて、向かい合うように立たせ直す。




「いいの、感情移入の練習」



Tシャツにスウェット姿のOFFモードだったテミンの表情が、一瞬にして変わった。



いつものやわらかいテミンがどこにもいなくなった気がして少し緊張する。




『ふーん…。立ってればいいの?』




「うん!」

とまどいながらララがいうと、テミンは頬をまぁるくして笑顔で頷く。




テミンが嬉しいときによくする顔



可愛い//








「じゃあいくよ」






立ってるだけという約束だし、”いくよ”なんて言われてもララはどうしていいかわからない。


ただ、両手を下ろして気をつけの姿勢でテミンが何を始めるのかじっと顔を見つめる。






少し離れたところから歩き始めたテミンは、ララの前に立ってじっと顔を見つめてくる。




目が合ってるけど…どうしたらいいんだろう…
わたし…このままでいいんだよね…?




ララの表情がオロオロとし始めるのに、テミンは真剣な顔つきのまま。





入りきってるんだ…よね…?





突然、テミンが顔をぐいっと寄せてきた。



なっ//




その距離があまりに近すぎてびっくりしたのと、見つめ合ってからのそれだったから思わず赤面してしまったのが自分でもわかる。



ララは恥ずかしいのを隠すように慌てて、テミンの胸元を押した。




『ちょっ//』





SHINeeのダンスにこんなシーンがあるなんて思えない。

テミンはしょっちゅういたずらをするから、これも仕掛けられてるのかと脳が勝手に判断して、とっさに出た言動だ。



ララの反応を見て遊ぶのは、テミンの日課だったりする。 


どうせ面白がっているのだろうと、ララは恐る恐る顔をあげた。





「もうっ、なんで声出すの!立ってるだけって約束でしょう!」



ニヤついていると予想していたテミンの表情がまったく違う。

緩んでるなんてこともなく真剣な顔はそのままで、…むしろちょっと怒ってる?





『あ…ごめん』



なぜかララが悪いことになってる。



「もう1回」



強い口調で言われるから、ララは何も言い返せなくて、その次何をするのかも聞けなくて、俯いたまま頷いた。









『…//』




さっきと一緒…


何が始まるのかと見つめてたら、見つめ返されて…

結果見つめあうことになって、


自分が見つめてるからダメなのかも…と、目をそらそうとしたら、また顔を近づけてきて…




ちょっ//
さっきよりも近いんですけど…//




キスでもされてしまいそうなのほど




緊張するし、動いたらまた怒られそうだし、
目をつぶってしまいたいけど、この次がどうなるのか見たい気もするし、
顔をあげたら怒られそうだから、目だけそっと上を見る。





テミンの顔がすぐそこにあって、
その目はとっても真剣で、目が合っていそうで合ってなくて…



なんかものすごく色っぽい…
それなのに…どこか悲しそうで…




ララにもその悲しみが移ってきそうで、苦しくなる。




どうしよう…なにこれ…



なんか、こわいよ…





ララは無意識のうちに息を止めていた。





すごく長い時間が経ったように感じる。






ゆっくりとテミンの手が近づいてきて、頬に触れるのかと思ったら、

胸のあたりまで下ろした髪の首の辺りをテミンにぎゅっと掴まれた。





ララの心臓が大きく跳ねる。





ドキドキドキドキ・・・・




いままで経験したことのない緊迫感。

ララは”練習”と言われたことをすっかり忘れて、ただ胸が苦しい。






どうしよう、泣きそう…









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