未来へ走る船 第三部
□ジャヤ〜その3(2014.5.20)
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海に響くのはトンテンカン……と繰り返される釘を打つ音。
ウソップの修理した箇所がショウジョウの音波により再び壊れてしまったようだ。
剥がれかかった板を打ち込むウソップを手伝うチョッパー、ゾロ、ルフィ。
「あのオランウータンめ! せっかく修理したのに壊してくれやがって!」
愚痴るウソップにゾロは呟く。
「気がつきゃ、いつの間にボロボロだな……かえ時か?」
「勝手な事言ってんじゃねェぞ!」
即座に怒鳴るウソップにルフィは板に釘を打ちながらニッと笑う。
「文句言っても仕方ねェよウソップ! メリーもおれ達の大切な仲間なんだ。 頑張っておれ達でよ! 直してやろうぜ!」
「ルフィ……おめェって奴ァ……」
<……ルフィ……>
ルフィの優しさに嬉しくて涙ぐむウソップとメリーだが、バキッ! と壊れた音でその気持ちは吹き飛んだ。
力の加減を間違ったルフィが更に壊してしまう。
「あ」
<あ>
「てめ――!」
ウソップは怒り、ルフィの首を掴んで体を揺すった。
「何してんだ!」
「ああああああ――!」
わざとじゃねェ――とルフィは叫んでいるようだが言葉になってない。
騒がしい2人を横目にナミはジャヤの地図を見つめ現在地を確認する。
マウスベイを通り過ぎ海岸線に沿って来たのは、ちょうど獣の形をした島の首あたりだろう。
×印の場所には遠目で見て分かるほど、小さいが立派な城が建っていた。
「……着いたわ。 ここに例の……誰だっけ?」
「モンブラン・クリケット」
ロビンは黒髪を風にそよがせて返す。
「――その夢を語る男が住んでるね? ……一体、どんな夢を語って町を追われたの?」
「詳しくは分からないけど……このジャヤという島には莫大な黄金が眠っていると言ってるらしいわ」
――黄金!?
途端に目を輝かせたのはナミだけじゃない。
ルフィ、ウソップ、チョッパーも胸を躍らせた。
海賊なら誰もが夢見る黄金話。
ロビンは黄金に興味はないが、黄金にはかならず歴史が一緒に埋まっているものだ。
「さァ……どうかしらね」
埋蔵金か!? と期待する4人にロビンは微かに微笑した。