番外編

□麦わらの一味の日常〜とある東の海での一日(2019.10.12)
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“とある東の海の一日”



メリー号は東の海を今日もゆく。

朝、一番に起きるのはサンジ。

陽の差す甲板に出て欠伸を一つ。


「ふあぁ」


背伸びをすると、最初の煙草を口にする。

味わうように吸って、ぷは〜……と煙を吐いて、朝焼けの空を見上げる。


(今日も天気良さそうだな……)


視界に入るのは見張り台。


(さてと……)

「おい! ゾロ!」


呼ぶ声にゾロは面倒臭そうに顔を見せる。


「来たか……」


ゾロは見張り台から下りると、男部屋へと欠伸しながら向かった。

ウソップと朝の交代をする為だ。

不寝番は最初の頃の航海と今ではだいぶ変化した。

まず、航海士のナミは一味の生命線。

寝不足で判断が鈍るなんてあってはいけないからしない。

コックのサンジもまた夜も遅く、朝が早いからしていなかった。

なので以前までルフィ、ゾロ、ウソップ、ミコトで交代でしていた。

しかし、健康優良児のルフィはいつも寝てしまい、ご飯の匂いがするまで起きない。

ウソップは起きているが、 「夜の海が怖ェ〜」  とか言って、いろいろ理由をつけては夜中にゾロとサンジを何度も起こす。

これでは見張りにならないという事でゾロとミコトが引き受ける事になったが―― 二人が交代してする事にサンジが反対した。

ゾロはミコトのように雑用をするわけでもないのだからという理由らしいが、ただミコトにさせたくないという思いもある。

けど、自分が代わってやれる余裕もあまりない。


「お前がやれ!」


かといって、さすがにずっとというのはキツイだろうとサンジにも分かっている。

話し合った結果、連日する方がゾロがまだ楽だという事で、五日おきで二日の休みとなった。

二日間はミコトとサンジが交代して不寝番をする。

サンジが番の時はそのままウソップと交代し、朝の支度をするというかなりハードなものだ。

もちろんミコトは自分がすると言ったが、サンジがミコトに二日不寝番させたくないと言い張って押し通した。

ミコトが不寝番の時はサンジのお楽しみの時間でもある。

ウソップを起こして一緒に行けばいいものを起こさない。

わざわざ、見張り台に一人で足を運ぶ。


「ミコトちゃん!」


『サンジ君。 おはよう!』


「おはよう!」


二人で朝の海や空を眺め、挨拶と他愛のない会話をする。

誰にも邪魔されない時間はものの数分だが、サンジには幸せなのだ。

ナミともこんな時間が欲しいと、密かに狙っているが、なかなか機会がない。


「ウソップを起こしてくるから、ミコトちゃんは部屋に戻ってくれ」


『うん! ありがとう』


二コリと笑うミコトはそのまま飛び降りて、サンジに手を振る。

女部屋へと一度寝に行くミコトは途中眠そうに瞼を擦る。

(クソ可愛い〜!) と心で叫ぶサンジだ。

そして、一味の朝が始まっていく。



      ◇◆◇



朝ご飯が終わると真っ先に外に飛び出すのはルフィ。


「ウソップ遊ぶぞ!」


「いや、見張りしろよ!」


「え〜、しょうがねェな」


「え〜じゃねェ! おれだってやる事あるんだよ!」


ウソップは新たな弾の開発に余念がない。

思いついたら即、試す。

ミコトがウソップに声を掛ける。


『甲板掃除終わってからにしてね』


「おう!」


「じゃ、それまで遊ぼう!」


ルフィに誘われるウソップは仕方ねェと応じるが、サンジが二人に頼む。


「あ、魚頼むぞ!」


これで遊びは釣りに決まったようだ。


「任せろ! でかいの釣るぞ〜!」


「おれが釣る!」


張り切るルフィとウソップはバタン! とキッチンから出て行った。


「ふあぁ……」


欠伸するゾロは床へ座ると速攻で、ぐーと寝る。

男部屋まで行くのが億劫なのだろうか。


「てめェ! こんなとこで寝んじゃねェ! 邪魔だ!」


キッチンの主であるサンジに怒鳴られ、追い出されるゾロ。

朝ご飯が終わった後のゾロは大抵昼ご飯まで寝ている。
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