番外編
□麦わらの一味の小話
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“借りの返し方”
ウイスキーピークより。
その一、夢主からかわれる。
◇◆◇
ニコッとミコトが笑うと、何か思いついたのかゾロの目が気持ち開いた。
「ああ………!」
『何? なんかあった?』
「いや……いい……」
聞かれたもののゾロは言うのを躊躇った。
ミコトはというと遠慮しないでと微笑した。
『言っていいよ』
ゾロとミコトは月明かりの下で見つめ合う。
『…………』
「……ふっ…」
口角をあげてゾロがニヤリと不敵に笑う。
『なあに?』
「まあ……あることにはあるが、お前に返せるかな?」
『え……?』
再び見つめ合う、隣に座っている二人の距離は近い。
川の流れる音だけが聞こえる。
ゾロのピアスがカチャリ……と揺れて音を鳴らす。
近付くゾロにミコトは体を緊張させた。
『……えっと、ゾロ?』
「しっ……!」
『…しっ…て何を……』
「何か妙な気配がしねェか……」
『え? 気配?』
目を丸くして見つめるにミコト、ゾロはニヤリと笑う。
「お前……今、勘違いしただろ」
『し…してないもん!』
「した」
言い切るゾロにミコトは黙ってしまった。
「何、考えた?」
『何も考えてないってば……!』
「ふーん。 おれは考えた」
何か思わせぶりに言うゾロ。
ミコトはつい尋ねてしまった。
『……何を?』
「知りたいのか?」
覗き込むように聞くゾロにミコトは、しまった! と思って目を逸らそうとした。
「逸らすな!」
『……う……ゾロ、意地悪だよ…』
「そうだな……。 でも、苛めたくなるお前が悪い」
『なにそれ……』
ゾロは本気でいじけ始めるミコトに悪いと思ったのか、苦笑してミコトの髪をくしゃ…と撫でると笑った。
「悪ィ……いじめすぎた。 もうしねェよ」
『……うん』
「飲み直すか…?」
『うん!』
二人は川面に映る月を眺めた。
おしまい。