番外編

□麦わらの一味の小話
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一歩も譲らない二人は、ローグタウンに降りしきる雨よりも止まらない。

その様子をたしぎが軽蔑した目で見ていた。

我慢できないといった様子で、ミコトの左手を握り締めると見つめる。


「シロさん! こんな野蛮な人達と航海するんですか?」


『え!?』


「まだ、間に会います! 私と一緒に正義を貫きましょう!」


『それは……でき…』


「お前! 何、言ってんだ!? ミコトはおれの仲間だぞ!」


ルフィがミコトの空いた右手を引っ張る様に握る。

たしぎはキッとルフィを睨んだ。


「私はずーっと前からシロさんにお願いしてるんです」


「おれはミコトにお願いされたんだ! 諦めろ!」


「嘘!? 嘘ですよね? シロさん!」


『ごめん……本当の話』


「信じられない……」


「だから、言っただろ! ミコトはおれのモンだって!」


ルフィの勝ち誇った声に反応したのはサンジだ。

ゾロの睨み合いから視線をはずすと、ルフィを見据える。


「今……何て言った? ルフィ……?」


「ミコトはおれのモンだ!」


「いつ、可愛いミコトちゃんが、てめェのモンになったんだよ!」


「最初っからだ! なっミコト?」


『……ルフィの “もの” ではないよ』


「えーっ! そうなのか!?」


「当たり前ェだ! ミコトちゃんはおれのプリンセスなんだからな!」


「それも違います。 海軍将校になる人です! そして二人で海賊達を捕まえていくんです」


「お前! ミコトは海賊だぞ! そんなことしねェんだ!」


『ちょっ…みんな…』


「来い、ミコト! こんな奴らほっといてメリー号に急ぐぞ!」


ゾロは戸惑うミコトの右腕を掴んで行こうとする。


『ま…待って…』


右手はルフィが握り、左手はたしぎが握る。

斜め後ろにはゾロがいて正面にはサンジがいる。

どうにも動けないミコトはパニックだ。


『あ……ああ! …もう! みんな、煩い!』


繋がる手も腕も振りほどくとミコトは怒鳴った。

唖然として、怒るミコトを見つめる四人。


『……もう、一人でいく!』


ミコトは激しい雨の中を歩く。

ルフィが最初に口を開く。


「ミコト、待てよ! おれも行く!」


「おれもいるよ、ミコトちゃ〜ん!」


「…………」


黙りながらもゾロも後に続いた。

三人の後ろからはたしぎが後を追う。


「待って下さい! 私も行きます!」


「お前ェは海軍だろ!? どっか行けよ」


ルフィが嫌がるがたしぎは気にも止めない。


「あなたの指図は受けません。 ちょっと、どいて下さい! シロさんの隣は私が歩くんです」


「あっ! お前、何すんだよ!」


また揉めるのかとミコトは、仮面の下でついてくる二人を冷たく睨む。

ミコトが怒っていることを理解すると押し黙った。

睨み合いながらも四人はミコトについて行く。

さてさて、この後状況を覗き見していたドラゴン。

強風により、物語は無事修正されたのであった。



おしまい。
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