My Turn
□Viva la BL.Viva la GL.
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「ファンタジーだよ」
彼女の言葉に、私は大きく頷いた。
そうだ、そうなのだ。ボーイズラブはファンタジーだ。その存在が現実にあることは知っているが、実際に目の当たりにしたわけじゃない。
本当に男の人の心や体が、同性相手に高鳴ったりするのか、女である私にはわからない。いや、実際に高鳴るんだろうけど、漫画や小説であるように簡単に感情をあらわにするのか、行為に至るのか、そんなことはわからない。
「でも、人間の本質を描いてるよね」
彼女の顔が優しく微笑んでいるのを見て、私は少し首を傾げた。
「男と、男だからかな。普通じゃないってところがまず大きな壁でしょ。男女の恋愛ならごくごく普通で、どこにでもあるでしょ。私たちも知ってるし、経験したことがあるじゃん」
それはそうだ。まず、いきなり壁。同性相手に心が弾むってところで、自分を否定し始める。なんで女じゃないんだ。どうして彼なんだって。
「そして、乗り越える。男でもいいって。彼がいいって。それだけでもすごくない? 人と違うことを認めて受け入れるってなかなかできないよ」
遠い目をする彼女に、そうだね、と笑いかけた。
すごいことだ。自分が世界から取り残されたみたいに感じるだろう。正常、普通が求められる世の中に、猛然と逆らって生きることを選ぶんだから、並大抵のことじゃない。
「人として、はっきりその立場を知るんだろうね。自分はみんなと違うって、叫ぶんだよ。認めるってそういうことでしょ?」
大袈裟に頷いて見せると彼女はまた、すごいなぁとつぶやく。
世界の中心とまでは言わないけど、叫ぶのだ。俺は、みんなと違うって。俺は、あいつが好きだって。この気持ちに嘘はないって。
「男が男を想うって、そういうことだと思う。純粋だよね。そこに嘘はなくて、本当に欲しくて、本当に好きで。これって恋っていうより、愛じゃない?」
細く整った眉を上げて、私に尋ねる彼女は、答えが得られないと知っているようだ。頬杖をついて、うーん、と悩み始めた。