My Turn
□ライバルは神様
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あなたのことを信じないのです。
信じさせるにはこうするしかないのです。
神に忠誠を誓ったのは彼が十歳になった頃だった。
天地を創造した神の教えは彼の心の深いところまで満たし、彼に生きる目的を与えた。
神父となって道を迷う多くの人たちを救いたいと幼いながらも彼は堅い決意を胸に秘めていた。
十余年後、スータン姿の似合う神父となった彼のもとに一人の迷える子羊が訪れた。
天山寺教会は天主堂などの大きなカトリック教会堂と比べてとても小さな教会だった。信者の数も多くはなく、ミサは定期的に行われていたが信者席が埋まることはなかった。
だがこの教会の歴史は古く、明治の初めからあったと言われている。
白い外壁は歴史を語るように所々薄汚れているが、中央にそびえ立つ十字架は今も変わらない信仰を天に示しているようだった。
その天王寺教会の司教が十歳で神の僕(しもべ)となることを心に決めたシンジ神父である。