Sour1
□あなたに愛を、僕に鎖を23
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通された狭い部屋の中は淡いピンク色の明かりが灯っており、窮屈さを曖昧に見せていた。簡易的なシャワーと薄っぺらな布団、それに裸に近い格好をした女。
作り物の花の香りが狭い部屋に充満していて鼻をつき、気持ち悪さに住友は眉をひそめた。
女が猫なで声で名乗ったが、住友は聞いていなかった。
「お客さん、イケメン。可愛いね。こういう店初めて?」
しかめっ面のまま頷く。
髪の長い女だった。今夜佐野に連れられて行った店に似た女がいた。テーブル横を通った体の線がわかるタイトなワンピースを着た佐野と同類だという女だ。
「とりあえず、座ったら?」
女の言うとおり、住友は布団の上に座る。正座はおかしいかと胡坐をかくと、女が足の上に乗ってきた。
向かい合い、顔を近づける。
「初めてのお客さんの時は、こうやって接客するの、アタシ」
豊満な胸が押し寄せ、思わず住友は体を引いた。
このソープ嬢が、来る客誰にでもこの体勢で接客するというのは本当とは言えないだろう。どこまでサービスするか、彼女たちは客を見て決めるのだ。
どうやら、住友はこの女の眼鏡にかなったようだった。
「何してほしい? キス? フェラ? もっと違うプレイ?」
近距離にある作られたような顔が、疑問符と共に左右に揺れる。
この美しい顔だけが取り柄のような女に、住友が求めるプレイなどできるわけもない。
少し考えてから、住友は答えた。
「フェラ」
歯を見せずに笑った女が、住友のズボンのファスナーに手を伸ばした。
閻魔の顔をしたチョコが尋ねる。
『求めてはいけないものをなぜ求める?』
好きだからじゃん!
住友は心の中で叫んだ。
佐野のことが好きだから何もかも欲しい。でも、佐野が住友の気持ちを求めていないのなら、欲するのはおかしいのかもしれない。
一方通行は、一方にしか行けないのだ。この気持ちは住友から佐野へ、その方向にしか存在しない。
なんで?
下半身でうごめく舌が住友の頭に電気を走らせる。
女の頭部が上下に動き、固くなったペニスの裏筋を、震える亀頭を刺激する。
押し寄せる快感に身を任せればいいはずだが、住友の脳内には自分を責めるチョコがいた。
欲求に素直な自分がいた。
自分を見つめる佐野がいた。