Sour1
□あなたに愛を、僕に鎖を18
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「俺を縛ってください」
そう言った住友に佐野が縄を見せると、興奮したように頬を赤らめた。
両腕を背中に回し、腕を平行に保ったまま手首を固く縄で縛る。徐々に住友のペニスは勃起し始め、先が妖しく光る。荒い息を吐き出し、淫らな想像に声が漏れる。
これがラストチャンスである。
行きつけの焼肉店から直行したホテルで二人向き合う。
佐野の欲求に応えられなければならない。
佐野の欲しがる快感を与えなければならない。
もし、応えられなければ、与えられなければ、二人にとって最後の夜となる。
「次は、足だ」
膝を折り、足首と足の付け根へと縄を通し、頑丈に縛る。
黙々と行われる緊縛に住友の興奮は高まる。
太腿と膝下部位とを丁寧に縛っている佐野の手は少しも迷うことはなく、慣れた手つきで縄を操るその行為に住友の感嘆のため息が何度もホテルの一室に広がった。
出来上がった緊縛に今度は佐野の息が漏れ出た。
住友の股は開くことができるが、手も足も動かすことができない。これで住友の体の自由は完全になくなった。
「きついか?」
「ん、ちょっと」
「緩いと筋を痛めたり、関節が外れたりするから、きつく縛るんだよ」
顔を近づけ、見上げる瞳の奥を覗く。
佐野には、いかに体の自由が効かなくなろうとも、住友が痛みに耐えられるとは思えなかった。今はまだ潤んだ目をして佐野を見つめているが、スパンキングが始まれば、その目に敵意が帯びる。
人はそう簡単には変われないのだ。
痛みを、ただ痛みとしか感じない住友が、それを快感と変化させるにはまだ何か足りないのだ。
佐野との関係を終わりにしたくないがために行うプレイに、住友にとって意味があったしても、佐野にとって何の意味があるのか。
なぜ、今日あの時、関係を終わりにしなかったのか、と後悔することになるだろう。
「大丈夫だって。俺、頑張るから」
佐野の心配をその表情から読んだのだのか、住友は笑って見せた。