Cocktail

□主任:大木
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 馬鹿にしている。
 俺を馬鹿にしている。

「大木、今日から君の上司になる男だ。年は君より下だが仕事はできる」

 本庁から移動になった理由は誰でも知っている事実だが、あの男はこの俺を馬鹿にし過ぎている。
 刑事としての仕事などさせてもらえない。
 雑務をこなす日々は嫌気がさす。
 すべてはあの男のせいだ。

 冷めたような目で俺を見る。
 あの白い頬を思い切り殴ったらどんな顔をするだろうか。
 風俗の女に狂っている。
 目の前でその女を犯してやったらどんな顔をするだろうか。

「大木、ウラすら取れないのか。もういい、私が出る」

 男としての自信に溺れている。
 あの若さで警部とは、一体どんな手を使ったのか。
 手ではなく、体か。
 腹の膨れた狸に可愛がられて、クセのある髪を乱したのか。
 自分の出来の良さに溺れている。
 世の中を手の平で転がしている感覚に溺れている。

 溺れ死ねばいい。
 俺のケツを舐めながら泣けばいい。

「大木、何もするな。お前は電話番でもしていればいい」

 太い縄できつく縛り上げ、奪ったネクタイを口に噛ませ、勃ちもしない陰茎を切り刻んでやろう。

 いや、軽蔑すらしている俺で喘げ。
 震え勃たせ、言うことの聞かない体に、思う通りにいかない世の中に、嘆け。
 よだれを垂らし許しを請おうが、
 潤む虚ろな目で俺を見上げようが、
 俺は決してやめない。
 悲鳴を上げれずに苦悶な表情を浮かべようが、
 俺の名を呼ぼうと薄い唇を動かそうが、
 俺は決してやめない。


 お前の体に、俺を刻むまで。
 お前の世界が、俺を知るまで。
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