短編書庫
□たまには素直になってほしくて、
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「た、高野さ…駄目です、こんな、とこで、」
「別にいいだろ?二人しかいないし…」
「で、でもッ…!」
午後11時。世間的にはもう遅い時間だが普段から不規則な生活を送るこの二人にとってはまだ早い時間。
そんな時間帯に二人揃って帰宅。
これは この二人にとっては あのフラグ。
(え、えっちのフラグ…!!)
いつものパターンなら、このまま律が抵抗するところを無理矢理高野が押し倒しそのまま如何わしいことに繋がる。
…うん、
いつものパターン、なら。
「や、あのっ…でも…!!」
律は抵抗(したふりを)する。
このままなら高野が「黙れ、」とか言ってそのまま口塞いできてムフフ…。になるのだ、が。
うん、いつもなら。
いつもなら。
「…そうか。」
ガチャン
「…え?」
高野が そう言うと何やら物騒な音がした。
自分の手首から。
「お前がそういうなら仕方ねえよな、だったら無理矢理するまでだ」
そう言うと、"いつものパターン"通りに口を塞いできた。
何かの、道具で。
「ッ、──…っ!!んぐ、んー!!」
え、なにこれ、いつもと違う。
今更ながら律はそう思った。
「ああ、声だしたくないんだろ?出さなくていい、寧ろ出したらその道具で口裂けんぞ」
これなら、なんの心配もないよな と高野は今まで見たことの無いくらいに凶悪な笑みを浮かべると 状況についていけない律を姫抱きして寝室へと連れていった。