SketDance

□自他公認
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※女子が腐
※かなりキャラ崩壊



「本日の開盟ランチタイムショーは生徒会による恋愛学講座です」

どうしてこうなった。
しかも生徒会が恋愛講座するなんて、メンツ的にどう考えても有り得ない。
純粋な椿ちゃん、恋愛も金の力で成就させようとするミモリン、恋愛経験ゼロなデージーちゃん。
今、俺と安形は恋人同士の関係だが、みんなにはそれを秘密にしている。
だから、表向きはデージーちゃんと同じように恋愛経験ゼロ。

でもこの企画、絶対俺の料理の時みたいになる気がするが、今更俺の力では止められない。

八木さん司会のもと、不安しか抱けない開盟ランチタイムショーが始まってしまった。


***


「では、最後のシチュエーションです」

よし、どうにかして今まで無事に切り抜けてこれた。
次がラスト。

「この質問は女子のお二人に答えてもらいます。……あなたはある男子に付き合おう、と言われますが、恋愛感情を抱いていないために断ります。しかしそれからも男子はつきまとってきます。あなたならどうしますか?」

「そんな最低な男、殴ってしまえばいいじゃないか」

僕の隣にいる椿ちゃんがボソッとタブー発言をした。
まあ俺もそれに同意するけど。


「ではまず、浅雛さん、お願いします。男役には…安形さん、お願いします」

まさかの安形が指名された。
でも当の本人はというと、めんどくせえ、といつもみたいにぼやきながらも諦め半分でデージーちゃんの前に立った。

…ごめん安形、俺嫌な予感しかしないんだけど。
殴られたり、蹴られたりとか。

「それでは、スタート」

「…会長、」

あれ、意外にもデージーちゃんが照れてる。
このシチュエーションまでは全部言葉の暴力かリアルな暴力で対応していたのに。

「…少し待っていて下さい」

突然場を離れると、なぜか俺のほうに来て、

「……」

無言で元いた場所に無理矢理俺の腕を引っ張っていく。

「え、ちょっとデージーちゃん、」

「会長。榛葉さんが会長のこと好きらしいので、私は付き合えません」

安形の前に俺を置くと、デージーちゃんは耳を疑うような発言をした。
一見まともそうだけどよく考えてみるとかなりおかしなことを言っている。

「デージー?」

「まあ、デージーちゃんったら」

「浅雛!?」

「…デージーちゃん…?」

「なるほど。なかなか思い付かない案ですね」

冷静だったのは、ミモリンと八木さんだけだった。


「デージーちゃん、これどうすればいいの…ってうわ!」

俺のことを完全に無視してデージーちゃんは俺をすごい勢いで安形のほうに押した。


一瞬、何が起こったか理解できなかったが、安形が俺を受け止めてくれたのは分かった。

安形は拒否することなく、ただ何も言わず、俺を抱きしめた。
布を挟んで伝わってくる安形の体温に、いつものような安心感を覚える。

「道流」

耳元で安形が囁く。
その不意打ちに、俺は自分の顔が真っ赤になってきているのを感じてしまって余計に恥ずかしくなる。

こんなふうに抱きしめられたのってすごく久しぶりだな。
やっぱりここが一番落ち着く…


「あの…会長、榛葉さん…もう番組、終わりました」

椿ちゃんの声が聞こえる。
なんで椿ちゃんがここに?…あ、そういえば…!
夢から覚めたように俺の意識は一瞬にして戻った。
と同時に今おかれている状況を理解し、羞恥を隠せなくなる。
俺達の周りには温かい眼差しで見守ってくれている生徒会メンバーと放送部員。
一生の黒歴史になりそうだ。





俺と安形はその日から学校公認のカップルになってしまい、一緒に歩いていると『夫婦』だのなんだのと呼ばれるようになった。
そのたびに俺達は恥ずかしくて違うだのなんだの言い返す。


でも、本音を言うと俺は少し嬉しいけど…これは安形には内緒。

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