SketDance
□親友以上恋人未満
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※雛+丹
「デージーちゃん」
二人っきりの生徒会室にミモリンの声が響く。
「お茶いる?」
「ああ」
急須を持って待ち構えている彼女の前でなんて断れない。
湯気が天井に上るのを見ながらお茶が注がれるのを待つ。
相変わらずミモリンの横顔は綺麗だ。正面からも勿論好きだが、私はこちらのほうが好みだったりする。特に、横顔から振り向いた時のあの瞬間が。
「はい、」
ミモリンが入れ物の八分まで注いだお茶を暫く見つめ、喉に通した。
「美味しい」
「嬉しいですわ、今日のは○▼社製の……「いや、入れ方がいいからだ」
「ありがとう、デージーちゃん」
照れくさそうにミモリンが笑う。
今日は会長、榛葉さん、椿君がいなくて本当によかったな、と改めて痛感する。この笑顔は私だけが見れるという優越感に浸れるから。
「ミモリンがお嫁さんだったら楽しいな」
「デージーちゃんのところだったら喜んで行きますよ」
好き、というストレートな言葉ではないが、互いの思いを改めて確認する。
でも、私は自分の気持ちを率直には言わないし、言えない。
たまに、固執した先入観をあまり持たない国に生まれたかったと心臓思うこともある。それでも私の力ではどうしようもない。ありふれた日常の中で自分を満たさなければならない。
だからこそ、私は自分に言い聞かせる。
今はこの距離―親友以上、恋人未満―で充分だ、私達が地球上で出会えたことが奇跡なのだから、と。