SketDance
□Wish upon a star
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※過去一部捏造
「安形、見てよ」
俺は道流が指差した方を見上げた。
「へえ…すげえ」
思わず感嘆する。そこには都会のネオンに負けないくらい、力強く輝く青白い一等星があったのだ。
「ここからは初めて見た」
「俺も」
昔、日光で星を見た。雲一つない空に満天の星が散りばめられていた。当時小学生だった俺はひどく感動したのを今でも鮮明に覚えている。
でも、今回の物は違う。汚染した空にたった一つ、輝いている。それは暗い夜道を照らしているようで、雰囲気を無駄にロマンチックにした。
「あ、」
突然道流がまた夜空を指差した。
「ん?」
興奮した様子の道流を横目に、空を見上げた。
「さっきと変わらなくね?」
「安形見るの遅いよ。流れ星見えたからね!今!」
「へえ…」
少し悔しい。
「で、何お願いしたんだ?」
まあ俺は流れ星が通る間に三回お願いしたことは叶う、なんて嘘話信じないけどな。
「秘密」
「教えてくれたっていーじゃねーか」
「秘密」
その後、いくら聞いても道流は『秘密』の一点張りで教えてくれず、結局そのまま別れてしまった。
道流と別れた後、夜道でやることもなく、自然と空を見上げた。そこには先程見たものと同じだろう一等星が未だ輝いていた。
俺も流れ星見たかったなあと心底思う。日光でもなぜか俺だけ見れなくてものすごく悔しかった。幼い頃はまだあの伝説のようなものを信じていたから尚更だが。IQ160なんて星には通用しないらしい。
静寂に包まれた道が物寂しく、俺は口笛を吹いてみた。
「只今ー」
「お帰り…ってあ!」
玄関で待っていてくれたサーヤが嬉しそうにドアの向こうを見た。
つられて俺も同じ方を向くと、そこには流れ星が美しく弧を描いて落ちていった。
『これからも道流と一緒にいれますように、これからも道流と一緒にいれますように、これからも道流と一緒にいれますように』
気づけば俺は懸命に流れ星に祈っていた。
「…かっかっか」
まだまだ子供な自分にあほらしくなって勢いよくドアを閉めた。流れ星の余韻に浸りながら、道流の願いってなんだろうな、と頭の隅で思いながら。
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