SketDance

□T
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TWhat shall I do?



中学を卒業した。
高校を卒業した。
大学を卒業した。

今年で社会人4年目。

生徒会の後輩達も大学を数年前に無事卒業し、椿ちゃんは医者、デージーちゃんは法学、ミモリンは被服、とそれぞれの道に進んだ。みんな、夢をしっかり掴んだり、掴もうとしているのに、俺だけは未だできていない。
立ち止まって考えたり、実行する時間は数えきれないくらいあったのに、気付けば時は風のように過ぎていっていた。いや、決して俺は自分が過ごした時間が無駄だったとは思わない。むしろ充実していたと胸を張って言える。

でも俺は学生時代にやり残しを作ってしまった。俺はこの年になってもまだ、それを引きずっている。
それ、とはかつて高校時代に置物会長と呼ばれていた安形惣司郎への想い。10年以上越しの恋。
中学からの付き合いの安形とは、社会人になった今でも毎日のようにメールのやりとりをしたり、遊んだりしている。でも、その至福の時が俺が彼への想いを断ち切れない原因ではないか、と考えてしまうことも度々ある。少しメールの回数を減らそうと試みたこともあったが実現できたことはない。
理由はきっと、俺が安形に依存しているから。
今までずっと一緒にいすぎて、一日、どんなに間接的でも安形と関わっていないと彼不足になるのだ。

安形は本人が自覚がないだけで、かなりモテる。もう社会人になって数年が経っているのだ。告白だってされたことだろう。いつ彼女ができるか分からない。もし、彼女ができたら俺が安形に想いを伝えるチャンスはないに等しいと言える。まあ元々何年も届いていないから、その条件がなくても無理かもしれないが。
色々とこうやって考えて今に至る。進展は前述の通り。なし。

俺はどうすればいいんだろう?このまま引きずったまま?


俺は、安形が好きだ。付き合いたい。キスしたい。抱きしめられたい。心から愛している。それなのに怖くて自分からは言い出せない。それなのに想いは断ち切れない。
普通は告白したいと思ったら誰しも願望の通り行動できるのだろうか。それとも、諦めるのか。
じゃあどちらもできない俺って…?
正直なところ、俺は自分が今まで俗に言うチキンな奴だとは思っていなかった。女の子の告白だって相手には悪いが問題なしに断れる。
だからこそ俺の安形に対する恋愛面の姿勢は自分でも予想外だった。


でも、いくら悩んでも時は止まってくれない。そんな俺をおいてまた年が明けようとしている。

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