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□禁断の先の堕落
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「レン」
「何?」
レンはコートのボタンを止めながら言った。
「今からどこ行くの?」
「ミクと遊んでくる」
「そっか…いってらっしゃい」
そう返すと私はすぐに玄関を離れた。
付き合ってはいないが、ミクとレンは仲が良い。もちろん私もミクと友達だ。
がちゃっ、という音がした。雪が舞う中、レンは出掛けた。
今日はバレンタイン。そして昨晩、ミクから一通のメールがきた。
内容は、
ミクがレンに告白しようと考えていること。
恐らくレンはミクが自分に告白するなんて微塵も考えずに出掛けたに違いない。
そして、ミクから告白される。
そして、了承するだろう。
私は、棚の上に隠しておいた包み紙に手を伸ばした。
所詮、私とレンは兄弟で、双子。最初から告白しようと思ったこと自体間違いなのだ。
それなのに、私は許されない関係を求めてしまった。いや、求めている。
「昨日一生懸命作ったのにな、」
誰も見ていないのに作り笑いしてみる。
帰ったらレンはきっと嬉しそうに今日の出来事を言うだろう。
だから、私は彼に言わなければならない。思っていなくとも、胸が痛んでも言わなければならない。
『よかったね』
『おめでとう』 と。